「ファーストネーム・ファミリーネーム、只今参りました。」

「おお来たか、実は其方に渡したい物があってな。ヒューゴ!」

「かしこまりました陛下。……さぁ、この包みを開いてみろ」


ヒューゴから渡された包みは軽くもなく重くもない物で、言われた通り中身を取り出すとそこにはとても綺麗な琥珀色のレンズがあった。そこらのレンズとは違うようだ。


「そのレンズはソーディアンのコアクリスタルと同等の高濃度のものだ。それらしき加工もしてあり遺跡で発見された。ソーディアンの試験的に使われていた物なのか……調べても分からなかったが、ソーディアンマスターの資質のあるお前なら使い道があるのではと思ってな。陛下に提案してみたのだ。」

「実際に使用してみて、役に立つのであればそのまま其方が持っているといい。」

「分かりました。有難く使わせて頂きます。」


手の平サイズのそのレンズを胸ポケットにしまい、謁見の間を出た。
この感じだと、もしソーディアンが見つかれば私にあててくれるかもしれないな……なんて考えていたら後ろからヒューゴに声を掛けられた。振り向くと嫌な笑みを浮かべてこちらを見下ろしている。


「それの扱いはリオン……いや、シャルティエに聞くといい。きっと役に立つ。」

「有難う御座いますヒューゴ様。」

「それにしても最近うちの愚息とよくして貰っているみたいじゃないか。ククク」

「失礼ですがヒューゴ様、私急いでいますのでこれで。」


ありったけの嫌悪感を込めて睨み、その場を去った。明らかにリオンを馬鹿にしている態度にイライラする。そしてこのレンズを私にあてた意味……なんだかヒューゴの手の上で転がされているみたいでスッキリしない。


「クク、面白いくらいに扱いやすい奴だ……」










「ただいま。」


家に帰り呟くも、返事があるはずがなく。
最近の私は欲が多すぎて困る。
リオンに会ったらレンズの事聞いてみよう、と頭の隅に置いて私服に着替えた。






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