あれから、私はよくリオンの家に顔を出すようになった。一番の理由はリオンとの交流だが、もう一つの理由がこれだ。


「マリアンのお菓子はやっぱり美味しいね!」

「当たり前だ。」

「二人とも、いつもそう言ってくれるから作り甲斐があるわ」


あの任務の少し後、街で偶然買出し中のマリアンと遭遇し会話に花が咲いた。その時に明日お菓子を作るのでお茶でもしないかと誘われたのだ。もちろん断る理由もなくお邪魔したわけなのだが、それからというものマリアンとの仲が深まり今では2人目の友達だ。
そんなこんなで恒例化されたお茶会にはいつもリオンも同席している。最初こそギクシャクしていたが、マリアンの力もあってか随分と距離を縮められた。そりゃあもう最初とは比べ物にならないだろう。任務でのコンビネーションも中々だ。


「そういえば、今日は城に行かなきゃいけないんだ。そろそろお暇するよ」

「だから仕事着を着ていたのね」

「今日は非番だろう?何かあったのか」

「分からないけど、謁見の間に来るようにって通達があったの。まぁ任務の匂いはしなかったから大丈夫だと思う」

「ファーストネームもすっかり板についてきたわね。気をつけていってらっしゃい」


そう言ってマリアンは小さく手を振った。
そんないってらっしゃい、という言葉に胸が熱くなる。包み込んでくれるような微笑みに飛びつきたくなる。色々なものをグッと飲み込み、微笑み返して目的地へと歩みを進めた。


「……ファーストネーム、いつも私がいってらっしゃいと言うと嬉しそうにするの。」

「うん、そうだね……。」

「エミリオとファーストネームってどこか似ていると思うわ。折れそうになったら、支えてあげてね……」






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