▼ 結局はラブラブな山崎と妙
(山妙)
山崎は呆然とした。妙に無視された。いや、気付かなかっただけだろうか。
「姐さん」
片手を挙げて呼びかける。確実に目が合った。だが、その視線は気まずそうに逸らされてしまう。
遠ざかる背中を眺めながら、山崎はつい先日のことを思い返していた。
数日前の夜。妙とそういうことを致した。もちろん無理やりではなく、自分の気持ちも伝えた上での行為だ。初めての妙を優しく丁寧に愛情をもって抱いた。確かに順序はすっとばしたかもしれないが、お互いに愛情があればそれでいいと思った。妙の気持ちもちゃんと確かめた。
「えー・・・嘘だろー」
山崎がずるずるとしゃがみこむ。あの夜から妙と恋人になれたと思っていた。自分は遊びで女を抱かないし、妙が雰囲気に流されるような女でないことも知っている。何度も想いを告げ、妙が受け入れてくれた。そう思っていたのに。
「夢じゃないのに・・・」
今も覚えている。あれは夢なんかじゃない。妙を抱きしめて寝たのだって夢じゃない。
「あーもう、姐さん待って!」
考えてったキリがない。山崎は妙の背中を追いかけた。思っていたより遠くへ行ってなかった妙の手をすれ違いざまに取り、人気のない路地へと連れ込む。
「なんで無視するんですか」
手を繋いだまま振り返ると、戸惑いがちに山崎を見ていた妙が視線を逸らした。
「ほら、また目を逸らす」
そう言って、悲しくなる。嫌われてしまったのだろうか。恋人になれたと浮かれていたのは自分だけだったのか。
「俺と姐さんって恋人だよね」
自信がなくなってきた。セックスしたのに恋人じゃないのかもしれない。
「俺は姐さんと付き合ってるって思ってたんだけど、それって俺だけ?」
「だって、何も言われてませんから」
「・・・へ?」
落ち込んでいた山崎が顔を上げる。
「何もって、俺姐さんに好きだって言いましたよね?」
「でも、交際を申し込まれたわけじゃありません」
「へ?」
二度目の気の抜けた返答に、妙が拗ねたような顔を向けた。
「好きだとは言われましたけどそれだけですし、朝になったらいなくなってたし、その後も連絡なくて・・・だから・・・」
「あー・・・・」
思い出した。あの夜は緊急の呼び出しが入り、疲れて寝ている妙を起こすのが忍びなくてそっと家を出たのだ。それからすぐに潜入捜査で、もちろんその間は仕事以外の連絡なんて出来ない。そんな任務が終わったのが今朝だったのだ。
「一応書置きを・・・」
「また連絡しますと書かれてましたけど、連絡はありませんでした」
「あ、あの、すみませんでした!」
山崎は勢いよく頭を下げた。こんなことをやらかしていたのなら妙が無視したくなるのも当然だろう。それなのに自分は浮かれて、次会えた時の笑顔だけを想像していた。
「姐さんっ、ちょっと遅いかもしれないけど聞いて下さい」
妙の手を両手で握り直し、真っ直ぐ見つめる。
「好きです。俺と付き合って下さい。俺の人生かけて一生大切にします」
若干プロポーズの意味を込めたが、まずは恋人からだ。どちらにしろ死ぬまで一緒に居たいことには変わりない。
「・・・はい」
目の前には愛しい人の満面の笑顔。赤らんだ頬が可愛らしい。
「良かったあ・・・」
妙が好きでもない男に抱かれるはずがない。だから何も言わなくても恋人になれた気でいたけれど、大切なことはちゃんと伝え合わなければ駄目なのだ。こうやって言葉にされると、それがはっきりと実感できた。
「姐さん、ほんと好き」
嬉しくて嬉しくて。
妙をぎゅうっと抱きしめた。
グリーンアイズ
2015/01/13
→山崎と黒山崎と、どちらでいこうかと思ったんですが、これは表裏一体、どちらも本当の山崎だ!ということで二つのイメージを混ぜてみました(笑)
山崎のイメージだと、平和主義で優しそうなグリーン系が浮かびますが、でもそれだけじゃないって感じがします。少し曲者っぽい感じ?甘いお酒みたいだなあと思いました。口当たりが良いけど度数は強いみたいな。詳しくないので探してみたらグリーンアイズというカクテルにたどり着きました。なにが山崎っぽいかって、さっぱりクリーミィで口当たりはいいけど、案外強いお酒なところ。見た目と味に騙されてたくさん飲んじゃうと・・・って感じが山崎っぽくないですか!?私はこれ山崎だと思いましたけどね!ね!
ヤってから始まる恋人関係!山妙ならアリな気がします(笑)坂田や土方さん、近藤さんもだけど、意外と手を出すのは遅そうなんですよね。それこそ恋人関係になってからそういう風にするんじゃないかと。
でも山崎はね、姉上も自分のことを好きだと知ったらテンション上がって勢いで抱いちゃいそうだなと(笑)「姐さん嬉しい、俺ほんと幸せ、大好き姐さん」とか言いながら着物脱がせてそう。そんな山崎が好きです。山妙って良いよね。
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