ワオ!2013妙誕記念アンケート! | ナノ


▽ 18才トリオで沖田→妙←神威


沖田総悟と神威は親友というほど近くはないが、ただの友人といってしまえるほど浅い付き合いではない。一言でいってしまえば悪友だろうか。

「そーご、次は誰にする?」

公園の隅に転がっていたサッカーボールで器用に遊ぶ神威が声をかける。

「アイツらは飽きた」

ベンチに寝転がって漫画を読んでいた沖田が応えた。
アイツらとはここら辺でデカイ面してる派手なグループのことだ。いつだったか、公園で騒ぎ暴れる奴らに絡まれたことがあった。面倒で放置したらそれが癪にさわったのか、余計に絡んできたのだ。沖田も神威も一見すると少年らしい爽やかに整った顔立ちをしており、まさかやり返されるとは思っていなかったのだろう。そんな二人が仕掛けた遊びが、どちらがより多く奴らを締め上げるか。

「じゃあオレの勝ちだね」
「俺だろィ」

締め上げた奴らは公園の清掃活動を頑張っている。今ではすっかり過ごしやすくなり、そうなれば奴らに構う理由がなくなってしまった。好戦的な神威と違い、沖田は喧嘩は嫌いではないものの重度のめんどくさがりである。ある程度の決着がつけば余計な体力など使わずゴロゴロしていたいのだ。

「まあいいや。オレも飽きたかも」

よっ、と頭にボールを乗せ、それをまた足元に戻す。1度も地面につけずにボールで遊ぶを神威の傍に、誰かの気配が近付いた。

「そのボール、返してもらえますか」

黒いローファーが神威の影を踏む。その涼やかな声音に何気なく沖田が視線を向ける。

「いーよ。オレより先にとれたらねー」

相手を見ないまま、神威はボールを高く蹴り上げた。別にボールなどどうでもいいから返すつもりだが、どうせなら暇潰しにからかって遊びたい。
もう一度高く蹴り上げて、ぐっと腰を下ろし膝を曲げる。勢いつけて跳ぼうとしていた神威の視界の端で何かが揺れた。沖田が目を見開く。

「跳ぶな!!」

沖田の声とほぼ同時に、神威は間近に迫っていた何かを避けた。若干無理な姿勢だったため、いくつかの筋が悲鳴をあげる。視界を横切った長い何か。

(棒?)

神威が目を眇める。長い何かは先端でボールを受け止めると、落下速度を殺すように下へと動いた。先端でボールを二度ほど軽くバウンドさせ、斜めに傾けた棒に伝わせ落としていく。まるで曲芸のような動きに神威はおろか、沖田も呆気にとられていた。
ボールに合わせて視線を動かせば、それはポンッと小さく跳ね、誰かの手の中に収まった。

「私の勝ちですね」

白いセーラー服にエンジ色のリボン。ここらで有名な女子高の制服に身を包んだ少女が、黒い髪を揺らして微笑んだ。

「このボール、近所の子が忘れていった物なの。拾ってくれてありかとうございます」

そう言って、ボールに書かれていた名前を見せる。確かに名前が書かれていた。

「それ!」
「え?」
「それそれ!その長いの」

突然明るい声をあげた神威が女の子に駆け寄る。

「この棒スゴいね!」
「あの、これは棒じゃなくて薙刀です」
「棒じゃないんだ」
「刃がありますから」
「へえ。上手に扱ってたよね。難しいんじゃない?」
「慣れるとそうでもないですよ」
「薙刀かあ。いいなあ」

神威はきらきらと目を輝かせて薙刀を眺める。神威が何かに興味を抱くのは珍しい。いつもは退屈しのぎに喧嘩を吹っ掛けてる男なのに。だからこそ面倒なことになりそうだ、と沖田は内心溜め息を吐いた。

「アンタ、用が済んだなら早く行きなせい。そいつにつきまとわれると面倒ですぜ」

淡々と少女に告げる。一応忠告はした。あまり意味はないだろうが、何も知らないよりはいいだろう。

「つきまとうとかヒドイな。そんなことしないよ」
「さあ、どうだかねィ」
「しないって。ねえ、オレそんなふうに見える?」
「え、え?いえ・・見えないです」

少女は軽い調子で肩に手を置いてきた神威に曖昧な笑みを向けた。他意のない無邪気な言動は拒否しづらいようだ。

「あの、ごめんなさい。人と待ち合わせしてるからもう行かないと」
「えー、残念。でも仕方ないか」
「それと、さっきはごめんなさい」
「さっき?」

神威が首を傾げて横を見やる。

「このボール、先に取ろうと思って早めに伸ばしたんだけど。あなたの動きが予想より速くて当たりそうになっちゃって」

先程の行為は神威への攻撃ではないと伝えたいのだろう。確かに、神威だから当たりそうになっただけで普通なら当たる前に彼女が取っていたことだろう。それだけ神威の動作が素早かったということだ。

「気にしなくていいよ。当たってないし」
「本当?良かった。そちらの方も声をかけてくれてありがとうございます」
「どーいたしまして」
「それじゃあ」
「またねー」

頭を下げる少女に手を振って神威が応える。沖田の予想に反して、神威はひどくあっさりと少女を手離した。どうやって少女を神威から離そうか考えていたのに、なんだか拍子抜けする。
しかし、小さくなっていく少女の後ろ姿を眺めていた神威の顔を見たとき、その考えは甘いのだと悟らされた。

「次はアレにする」

振り返った神威は愉しげな顔で、持っていた手帳を沖田に見せた。

「生徒手帳なんて盗んでどうすんでィ」
「会う口実になるし、名前が分かるよ」
「いつ盗った」
「肩に手を置いたとき」

神威は何でもないというように生徒手帳をパラパラとめくる。

「志村妙、同い年だ。へえ・・・志村妙ね。オレはたえって呼ぼうかな。総悟はどうする?」
「オレを巻き込むつもりか」
「先に落とした方が勝ち。どうする?総悟がやんなくてもオレはやるよ」

こんなに興味を惹かれるのは久しぶりなのだ。自然と顔が綻んでしまう。

「テメエが暴走しねえように見張ってねえとな」

そう言い訳しつつも、自分もあの少女に興味を抱いたのは事実だった。わざわざ声をかけたのが何よりの証拠だ。

「明日からにしよっか」
「好きにしろィ」

毎日退屈でたまらない。楽しみなど長続きしない。
ただ、少なくとも明日からは違った毎日が送れるような予感がしていた。




沖田→妙←神威
まず片思いが連鎖していないという失態。
一応設定としては、妙ちゃんは道場の娘で、そこにオビワン兄さんもいるんですね。そして兄さんに淡い恋心を抱いている妙ちゃん。
つまり、
オビ兄←妙←沖田&神威
という設定です。
ただ、オビワン兄さんは原作同様武者修行の旅に出ます。妙ちゃんからの淡い恋心には気付いていて、応えてやれない代わりに妙ちゃんを二人(沖&威)に託して自分は道場を旅立ちます。
という所まで上手くまとめられなかったのでここで付け足しテヘへ!

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