斎藤 長編 | ナノ


「てめぇら、全然気が入ってねぇぞ!!」

張上げられた声が響く蒸し暑い剣道場
一泊二日の合宿が始まって二時間ぶっ続けでやってきて流石に部員達の体力も限界らしい
ついて行っているのは一くんと総司位で二人とも涼しい顔だ

「やっぱりあの二人すごいわね」
『うん、全国レベルってだけあるよね』
でも流石にもうそろそろ他の部員が限界らしい
1年生の子がふらふらとし始めたし目でトシ兄に訴えるとトシ兄が溜め息をついて休憩を告げた
ふらついていた1年生にタオルとスポーツドリンクを渡して座らしてから他の部員に渡していく
「なまえちゃん、あの人鬼なの?部員殺す気なの?」
「総司、土方先生には先生なりの考えがあるのだろう」
『まぁ、今日は厳しいよね』
きっと1年に2回あった合宿が1日になったから詰め込む感じになってしまったのと
次期部長と主将を決めるのもあるのだろう
噂では部長ははじめくん、主将は総司なんて言われてるけど、それでも手を抜かずに見極めようとするところがトシ兄らしい。

「なまえ。」
声のする方を見ると鬼の顧問様様で
「あの一年、明らか様子がおかしいから休ませることにする。保健室連れてやってくれ」
『はーい』
さすがのトシ兄だ
ちゃんと部員のことを見れている

『トシ兄とばしすぎだよ、平助なんかそこで軽く死んでる』
平助を指さすとトシ兄の眉間に皺がよった
「分かってるんだがよ・・つい、な」
「つい、なじゃないですよ土方先生。死者出ますよ確実に」
「うるせぇよ、沖田てめぇ途中で手抜いてただろうが」
「あはは、ばれました?」

明らかに疲れた顔をしているトシ兄を放っておいて体調の悪そうな一年生を山南先生のと ころに連れていくことにした。人命第一だ。決して二人の争いを止めるのが面倒だったとかではない。決して。

山南先生のところに一年生を預けてそのまま昼食の準備の手伝いをしに食堂へ向かった
しばらくすると練習を終えた部員達がほぼ死人の状態でやってきた
相当ハードな練習が続いたんだろう
千と千鶴ちゃんの顔が部員達を哀れんだ顔になっていた
『お疲れ様、二人とも』
「なまえ先輩!お疲れ様です」
「ごめんね?昼食の準備一人でやらせちゃって」

「てめぇら、午後からは簡易試合を行う。しっかり今のうちに休んでおけ」

そう言ったトシ兄の言葉に総司はトシ兄のご飯に悪戯をしようとしたり平助は情けない声を出したのは言うまでもない

合宿開始。

(僕、本当に過労死しちゃうかも)
(俺もー)
(はい、そこ縁起でもないこと言わない!)

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