斎藤 長編 | ナノ


私はコンビニ店員だ。

そう、ただのコンビニ店員。

まぁ、あえて1つ挙げるとするなら

通っている高校を休学中のコンビニ店員だ。


「ねぇ、君小学何年生?家のお手伝いかな、えらいね」
『身長縮め総司。』

そしてもう一つ挙げるなら目の前にいるこの男は私の親友の彼氏だ。ちなみにクラス部活が同じだったりする。

「なにさ、ただ学校帰りにコンビニでアイスでも買って帰ろうかななんて適当に入ったコンビニで休学中の玩・・・友人に会っただけの普通の男子高校生に」

『ねぇ、玩具って言おうとした?!』
「あはははは」
『笑ってスルー?』

この鬼畜!


そんなドS男はシャーベット状のソーダ味のあのアイスを笑顔で高い位置にアイスを掲げていた。

『総司、総司!!』
「なまえちゃん、なんで学校休学するのさ?」

楽しそうに笑っていた総司の目はいつの間にか少しさみしそうな色に変わっていて

「なまえちゃんいないとさ、千が寂しそうなんだよね」
『・・総司もいるし、それに千鶴ちゃんだっているよ』
「それに、はじめくんも寂しがってたよ」
『・・・・気のせいじゃない?』

”はじめくん”その言葉で異常な程に心拍数が跳ね上がる。

「・・・・・ねぇ、なまえちゃん。僕も寂しいかな、少し。」
『ふふっ・・・少しだけ? 』
「うるさいなぁ、なまえちゃん。その口聞けなくするよ」
『ひぃあ!いひゃい!!』
「君さ、不器用だよね」
『ふぁにがだ、どひぇす!!』
「本当は寂しい癖に 」

私の頬をつねっていた手を離した総司は少しだけ優しい表情で私を見ていて思わず目の奥が熱くなるのを感じた。

『寂しくないよ?』
「嘘つき」
『本当だってー!総司来てくれただけで十分!』

「だからまた来てね、あ、今度は千連れてきてくれてもいいんだよ?」なんて茶化した感じで言ってみせると納得しきれてないような総司もやっと頷いてくれた。いつもより優しい総司に思わず頬が緩むと総司が「あ!」と声を上げる

「アイス、溶けたかも」

『はい、108円のお買い上げですねー!』
「ちよっと、奢りなよ君のせいなのに」
『ふざけんな』
「ちぇ、なまえちゃんのけちー」
『はい、ありがとうございましたー!』

少しだけ不貞腐れたような表情でコンビニを出ていく総司を見てなんだか安堵に似た気持になる。今は泣くな、なんて身体にぐっ、と力を込めるのに出そうになるそれはきっと総司が変に優しくなるからだ。


コンビニ店員の供述。

( あ、雨降り出した。 )
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