斎藤 長編 | ナノ


桜が満開になった季節

今日は薄桜学園、の入学式であり沢山の新入生が新しい制服に身を包んで薄桜学園の門をくぐっている


もちろん、俺も例外ではなく
今年から薄桜学園の一年として入学してきた
そして、同中であった総司も共に。

クラスわけの紙を見ていると総司はおもむろに口を開いた

「ねぇ、はじめくん。今年からここ、共学になったらしいけど今年の女子入学者二人しかいなかったんだって」
「...そうか。」

正直、興味はないが女子が少ないということはそれだけ厄介なことも減るということな為助かるといえば助かる。

「総司、あんたと俺は同じクラスのようだ。いくぞ。」

「相変わらず女の子に興味無いよねはじめくん」

興味無いよね、というが俺からしてみれば女子が多かろうと少なかろうと関係ないのだ
学校になんの影響が出るのだろうか?

「・・・あ、そういえば新入生の女の子さっき男の先生に抱きついてたけどそういう関係なのかな?」

・・・世の中には色んな者がいるものだな。

そう言ってやると、総司は楽しそうに笑っていた


どうやら薄桜学園は1年生は成績順にクラス分けがされているらしい
俺と総司のクラス1-Aは入試の成績が上位者だったクラス、ということになる
指定された席につくと隣の席は例の女子学生二人のうちの一人なのだろう

じっ、と総司の方をみているが総司のことを見惚れたのだろうか?

「てめぇら、席につけ」

そう言って教卓に手をついているのはおそらく担任なのだろう

「これから1年間お前らの担任のひじ...」

『遅くなりました!!』

がらっと大きな音を立てて開いた扉の先には、女子

「みょうじ、てめぇ・・道教えてやったのになんで遅れてんだ!?」
『未確認物体に掴まってました』

真顔で言ったその一言にみんな頭にはてなを浮かべていた

「未確認?何言ってんだてめぇは!!」
『ほんとだって!なんか金髪の人!!』
「ちっ・・・風間の野郎か」
苛立つ担任の先生と共に重くなる教室の空気
唯一、総司の笑い声だけがきこえた

「・・・まぁ、もういい。みょうじ早く席につけ」

はーい、などと適当に返事をしたみょうじとやらは俺の後ろの席についた

学校生活における諸注意、軽い説明などの後
自己紹介がおこなわれる
やる気の無いもの、笑いをとろうとするもの、当り障りのない平凡な自己紹介をする者
そんな中で先程のみょうじという女子の番となった

『みょうじなまえです!えっと、剣道部のマネージャーやろうと思ってます、あ、あとそこの土方先生とは恋人関係でもなんでもないので!!従兄弟なんで抱きついたりするだけです』

にこっと笑顔で言いのけたみょうじは、どうやら入学早々先生と恋人関係にあると噂された方の女子生徒であったらしい

土方先生は、ため息をつかれると座れとだけ命令し次の生徒の自己紹介へと移る

それからは、また、何事もなく自己紹介が終わりHRが終わった

「はじめくん、帰ろうよ」
「・・・嗚呼。」
鞄を手にかけ総司の元へ足を運ぼうとすると突然腕を掴まれる感覚


『あの!斎藤くんと沖田くん、剣道部入りません?』
声の方を見下ろすと先程のみょうじが、真剣な目でこちらを見上げていた

「あははっ、早速再度勧誘?なまえちゃん」
『だって、沖田くんさっき勧誘したときは相手にもしてくれなかったから斎藤くんと同じなら聞いてくれるかなって・・・』

眉を下げるみょうじは、総司を既に勧誘したらしい
『それに!わたし、斎藤くんに一目惚れしたんです!』

「「・・・・・は?」」

『あ、違うよ?そういう意味じゃなくて斎藤くんの剣道に一目惚れしたの』
けろっと答えるみょうじに深くため息をついてしまう
「なまえちゃん、君面白いから入部してあげてもいいよ?」
爆笑しながら笑う総司が簡単に入部を許可した姿には呆れてしまった

『斎藤くんもどう、かな?』
ちら、と上目遣いになっているみょうじに不覚にも心臓が高鳴るのを感じる

「・・・俺は元から剣道部にはいるつもりでいた故、」
『ほんと?!ありがとうっ』

目を輝かせて俺の手を握るみょうじ
思わず固まってしまうと総司がにやにや、とした嫌な笑みを浮かべるのが目に入った。

「君さ、はじめくん固まってるよ?」
『あ、ごめんつい・・・』
「・・・問題ない。」

みょうじがしゅんとした為、慌ててフォローを入れるとみょうじはすぐ笑顔に戻る

・・・子供のようだな

そう考えるとふと、頬がゆるんだ。

みょうじという女子生徒は、俺の中で初めてであった種類の生徒で

それから数ヶ月後俺はみょうじへの気持ちに気づくのはまた別の話。

始まり。

(それは、二人の出会いのお話。)
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