沖田短編 | ナノ


  勘違い。


また来た。

音の、する方を見たら
総司のスマホ。
画面を見なくてもきっと、あの子からのメール。この間のお泊りした時にスマホを見てしまったときに初めて知った
私の親友の千鶴からの、告白メール。
総司と付き合ってそろそろ一年になるけど
信じれなくて最初知ったときは思わず頭が混乱してしまった。
きっとデートの約束のメールなのだろうか
総司はシャワーを浴びていて、メールを確認しようと思えば確認できるが
そんな事をしても自分を傷つけるだけだ。
自分だってそこまで馬鹿ではない
だけど、気を緩めれば手が伸びそうになるのは、総司のこと、好きなんだ

「なまえ、どうかした?」
急にかけられた声にびくっとして振り返るとお風呂上がりの総司がいた

『ううん、なんでもないよ』
「そう?ってびっくりしすぎでしょ」
『ごめんごめん、そんな拗ねないで、ね?』
笑いながら頭を撫でてやると総司の機嫌もちょっとだけ治ったみたいでスマホを確認し始めた
少しだけ操作した時に総司の手が止まる
どうかしたのだろうか?
見ているとすぐにスマホをいじるのをやめてベッドの上に投げ捨てた

『どうかした?』
「んー、一くんがさ千鶴ちゃんと喧嘩したみたい。仲介してるんだけど中々、ね」

え、千鶴いつから一くんと付き合ってたの?
初めて知った情報に思わず目をぱちくり、とすると知らなかったの?とでも言いたげな顔をしていた
知らなかったも何も、総司と付き合ってるんじゃないの?
そう言いたいのを飲み込むと総司が心配したように頭を撫でてくれた

その優しさに思わず涙が溢れてしまう

「あー、はいはい泣かないの」
そう言って抱き寄せてくれる総司の声音は優しくていつだってこの声音に安心してしまう
『泣いてないもん』
「ふーん、なら目から出てるの何さ」
『っ・・・』
「強がらないのなまえのくせに」
そう言うと腕の力込めるから今まで思っていたことが口から出てきてしまう

『なんで、一くんと千鶴の仲取り持って私のこと慰めてるの、馬鹿総司!!』
「なんでって言われても、ねぇ」
『千鶴と付き合ってるんじゃないの?』

そう言うと総司は目を丸くさせてなんで?と言うから総司のスマホを見たことを告白するとああ、と納得した声をだしていた
バツが悪くて、俯くと急に総司がけらけらと笑い始めた

「なまえ、あのメール最後までちゃんと見た?」
きょとん、として首を横に振ると総司がスマホの画面を見せてくれた

“ずっと前からすきです。”
ありきたりな定番の告白メール。
何がおかしいのだろう?と頭にはてなを浮かべていると下にスクロールしてくれた

“斎藤さんからの返事待っています 雪村千鶴”

ぽかん、としていると総司がさっきよりも爆笑し始めた

「千鶴ちゃんも馬鹿だよね、告白メール間違えるなんてさ。これで僕は二人の関係知ったんだけどまだお互いに誰にも言ってないみたいだよ」
悪戯っ気な笑顔で事の事情を説明する総司

「大体なまえと付き合ってるのになんで僕が千鶴ちゃんと付き合うのさ」
『浮気、かなーって・・』

思わず引っ込みかけていた涙がまた出てきそうになるとゆっくりと頭を撫でてくれた

「僕、結構一途なんだよ?」
『知ってる。』
「なまえ、好きだよ。不安にさせてごめん」
大事そうに抱き寄せてくれた総司の胸で泣きじゃくっていると私が落ち着くまで頭を撫でてくれた

「大好きだよ」
『ん、私も』

勘違い。
(それにしても、僕毎日好きだって言ってた筈なのに疑われてたってことはまだ足りてなかったってこと?)
(へ?いや、ちがうっ)
(今日は泊まっていくよね?)
(・・はい)

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