沖田短編 | ナノ


  ただ、ひたすらに。


「あ、なまえちゃん。」

巡察を終えた帰りに見かけたあの子

僕の様子に気づく気配はなくて
ただ、楽しそうに隣にいるはじめくんと話している
はじめくんも、僕と話してるときなんか
真顔なくせに、頬を緩ませてさ
明らかに、入り込めない空気

別に、この感覚は初めてではないんだ
土方さんだって僕から近藤さんを奪っていく
それを、嫉妬と分かっているからなおさらに、近藤さんの隣を狙うのにいつでも近藤さんの隣はあの人。

その感覚と、とてもよく似ているんだ。

「・・・面白くないなぁ」

だって、そうでしょう?
あんなに不器用なはじめくんにいつの間にか先を越されて二人とも幸せそう

なんだかむかつくよ。


「組長、どうかしましたか?」
「・・・べっつに?早く帰ろうよ、疲れちゃった」

だから、僕はもし二人が恋仲になる日が来たら


誰よりも


ただ、ひたすらに。


(君たちの不幸を願うよ。)

お題配布元:確かに恋だった。恋する動詞111題『願う』

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