沖田長編 | ナノ


  その二人、契約。


人間は、大概の場合
本心を隠して生きる。

そして本心を隠して生きることが上手
い人ほど
この世の中をうまく生きて行ける

正直者は損をする


世の中は不条理だ。

その二人、契約。


「俺、みょうじさんのこと好きなんだ。」

また来た。

この学校に転入して何人目だろう?

最早多くて数えるのも諦めた。

『ごめんなさい』

少しだけ目を伏せそう告げると大概の男は何も言えなくなるらしい

「だ、だよな。ごめん、みょうじさん」

『ううん、気持ちはありがとう』

そう言って軽く微笑んで見せると男子生徒は頬を軽く染めながら去っていった。


本当単純。

つまらない。

ため息が自然に零れ落ちる。


「なまえちゃんって、やっぱりもてるんだね?」

『っ?!』

不意打ちのように後ろからかけられた声に驚き振り返ると

一番関わりたくない男。


『沖田くん・・・』

「ごめんね?つい見かけちゃってさ」

口元が弧を描いているのに、目は笑っていない。

つくづく、警戒してしまう。

「なまえちゃん、誰とも付き合う気ないの?」

『んー・・・今のところは無い、かな』

「へぇ、それって狙ってる男がいる、とか?」

『・・・さぁ?』

薄らと笑みを浮かべながら内心は早くここを立ち去りたい、その思いしかなかった。

「ねぇ、なまえちゃん。君は類は友を呼ぶってことわざ、信じてる?」

おもむろに口を開いた彼の口調からはどこかからかっている雰囲気が醸し出されていた。

『そういうこともあると思うけれど、どうして?』

「それ、本心じゃないでしょ? 」

沖田くんの目が細められて内心がバレていることに思わずどきっ、とする。

「君は僕と同じだと思うんだよね、類は友を呼ぶなんて人間が勝手に自己満足に浸りたくて作った言葉だって思うでしょ?」
『・・・・』
「無言は肯定、ってことでいいんだよね?」
『・・・いつから気付いてたの?』

どうやら彼には誤魔化しはきかないらしい。

「いつって・・・最初から?」
『やっぱり。』

そういうと彼の目もとがさらににんやりとしていて
「なまえちゃん、僕と契約しようよ?」
『・・・契約?』
「君と僕とで、恋人ごっこ。」

私は厄介な相手に捕まったと冷や汗をかくのを抑えれなかった。


To be continue...

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