12.決裂






ND2004――。


成人してもう1年経ちます。そう、21歳です。
いやーこの数年間、色々あったよ?ジェイドが死霊使いだなんて呼ばれ始めたり…。
あっそうそう、この前実験で失敗して、ジェイドが大怪我したんだっけ。
私とサフィールは事故った場所から少し離れた場所にいたから軽傷で済んだんだけど。
ジェイドも無茶するよねぇ。


で、今日は退院したジェイドから大事なお話があるってんで、サフィールと一緒に呼ばれた。



「来たよー!」


「ジェイド、どうしたの?」


窓の方を向いていたジェイドは、神妙な面持ちで振り返った。


「……フォミクリーの研究を、放棄する。」


「……え」


サフィールがぽかん、と口を開ける。
私もちょっと、驚いた


「……ジェ、ジェイド?どうして?どうして、やめるの?」


そうジェイドに聞いたサフィールの声は、震えていた。


「生物レプリカは……様々な問題がある。それにもう、ネビリム先生は……。」


「……そう思うのなら!僕一人でも研究を完遂させてやる!ジェイドなんか、もう知らない!」


そうジェイドに怒鳴り散らしたサフィールは、
バン!と扉を勢いよく開け放って、走って部屋を出ていった。
……私の横を通り過ぎた時、泣いていたような気がした。


「……キュビットは?」


残っていた私を、ジェイドは見た。


「うーん……。まぁ、さすがのジェイドもそんな大怪我したらやめたくもなるよねぇ。私も、結局の所興味本位で研究に参加しただけだし。」


太陽の傾き加減で逆光になり見づらかったけど、彼は少し表情を緩めたようだった。
けど私は首を横に振る。


「でもね……ごめん。やっぱりサフィールが心配。あの子、寂しがり屋でしょ?ジェイドに突き放されて、私まで離れたら……きっと潰れちゃうよ。」


バイバイ。
とジェイドに片手を振って、飛び出していったサフィールを探し始めた。




「……結局はキュビットも、馬鹿だな……。」


研究室に一人残されたジェイドは、そう呟いた。












「ああもう、どこいっちゃったのかなぁ……おろ。」


研究所を出て、すぐの所に彼はいた。……手すりに突っ伏するようにして海を眺めてる。


「サフィール。」


呼び掛けたら彼はちら、と一度だけ私を見て、またすぐに海の方に視線を戻した。


「いやはや、まさかこんなことになるなんてね。元気だしなよー……って言っても無理か。」


サフィールは黙ったままだ。
仕方ないから私も同じように隣に並んで海を見た。
うん、今日もグランコクマの海は綺麗だなぁ。夕日に照らされた海面がキラキラ輝いてて。


「……キュビットも……生物レプリカの研究を放棄しろと、言いに来たんですか?」


おっと、お話しする気になったか。


「いや?私はどっちでも。ただ、どっかの寂しがり屋さんが手伝ってー!って言ってきたら、協力してあげるよ?」


「なっ!誰が寂しがり屋ですか!誰が!!」


「あ、認めてるんだ!」


「認めてなど……キィ――!!」


サフィールがいつもの調子に戻ってきた!
いやー安心安心。


「…………。本当に、本当に協力して欲しいと言ったら、協力してくれますか……?」


「おうよ!私のアンマルチアとしての頭脳と技術、提供してあげる!!」


だから大船に乗った気持ちでどうぞー!と、サフィールの方に体を向けた私は自分の胸を叩いた。


「本当に、本当にですね!?本気にしましたよ!?」


こっちを向いたサフィールがやっと笑ってくれた。
だから私も、自然と笑顔になった。












決裂










サフィールが……女々しい……!www
ということで、ジェイドが研究から離脱。サフィールと二人になる事が増えるわけですが、果たして進展はあるのやら。
……進展させるつもりですがね!






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