11.胸元で輝く贈り物






今日は休みの日なんだけど。家の呼び鈴が鳴った。
扉を開けたら鳴らした主は、サフィールだった。


「……はい?あれ、サフィール?」


「あの、その……。私と二人でお出掛け、しませんか。」


「え?うん、いいけど……いきなりどうしたの?……まさか!譜業の材料の大安売りとかあるの!?」


そうわくわくと身体を揺らしたら、サフィールに溜め息つかれた。そういうことじゃないです。と。


「と、とにかく……出掛けましょう。」


「……はーい……?」


私はサフィールに連れられ外に出た。一体、どうしたというんだろう。














……連れてこられたのは、比較的人が少ない広場だった。


サフィールに促され、一緒のベンチに座る。


「き、今日、あなたを連れ出したのはですね。渡したいものがあるからで……。」


「渡したいもの?」


しどろもどろ。
そんな言葉が似合いそうなサフィールの挙動。
私は首を傾げた。


その間にサフィールはごそごそと鞄から何か……箱を取り出した。


「これ……差し上げます。」


「なにこれ?」


手渡された箱を観察しながら聞く。


「今日は、私とキュビットが初めて会った日なので……。プレゼント…です。」


とにかく、開けてみてください。
と言われて、私は素直に開けてみる……。


中に入ってたのは、ネックレスだった。
銀の本体には文字が彫られていて、中心にある水晶玉は光を受けてキラキラ輝いている。
紐の部分には、一輪の薔薇のチャームが通されていた。


「これ……。」


「ネックレス型の、響律符です。……あっ、実用性のあるものですよ。」


「響律符……?」


どっかで聞いたことがあるような……。と私は唸る。
その様子を見て、サフィールは「まさか、知らないんですか?」とさも意外そうに聞いてきた。


「うん。残念ながら知らなくて。」


てへへ、と頭を掻いた。
そしたら、サフィールは丁寧に説明してくれた。


「じゃあ、説明します。響律符とは、譜術を施してあって、その譜の内容で身体能力などを増幅させる装飾具なんです。……一般に出回っている物は実用性がかなり低いですが、今渡したものは実用性があって、譜術の詠唱を助ける効果のある物ですよ。」


「へえー。便利なものだね。ありがとう!!」


さっそく、着けてみた。
首から提げた響律符がキラリと光る。なんだか嬉しくなった。


「私の見込んだ通り、似合ってますよ!」


「ほんと?照れるなぁ。……というか、よく私と出会った日の事なんて覚えてるよね。私、忘れちゃってた。」


「……忘れるわけないじゃないですか。突然で、衝撃的な出会いで、それに……」


「それに?……なあに?」


私が続きを催促すると、サフィールは何故か照れ臭そうに頬を掻いて、「何でもありません!」と言った。



「と、とにかく!私だと思って大切にして下さいっ!あっ、それと、これはこの前の、私を看病してくれたお礼でもありますからねぇーっ!」


サフィールはぴゅーっと逃げるように去っていった。
なんだったんだろう、としばらく首を傾げる私だったが、
サフィールからのプレゼントである響律符を見て、笑みをこぼした。


プレゼントって、なんだかこそばゆい。


私はるんるん気分でベンチから立ち上がった。










胸元で輝く贈り物















薔薇は完璧に奴の趣味だ……!wwwこの頃から薔薇が好きだったりするといいかも、という個人的な妄想ですw
響律符の能力は作っちゃいました。本編では詠唱を助ける響律符なんて出てきませんよね……。


サフィールがキュビットと出会った日付を覚えている理由は、多分復讐日記とはまた違う日記の方に書いていたっていうのもあります。そうだといい。


キュビットはこの話以降、サフィールから貰った響律符を常に愛用し続けます。
(なんかまたキュビットのスルースキル発動してる気がするけど気にするな←)




prev| next









「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -