ジョルノが告白


昼食を終えて、いつものカフェでアフタヌーンティーを楽しむ。天気はあまり良くないが、同じ常連の客に挨拶するのもされるのもなんとなく心が踊って、毎日の楽しみであった。

「お一人ですか?」

コーヒーカップを口から離した時、そう言って席の傍らに現れたのはこの間知り合ったばかりの少年だった。確か名前は―――ジョルノ。

『チャオ、ジョルノ。』
「隣、いいですか?」
『勿論。』

眩しいくらいの美しい金髪、身なりも良くて、実年齢より大人らしい。こんな、キラキラ輝くような人が私の横に座ったものだから、いつもの常連のおじさま達が小さく口笛なんか吹いてくる。明日コーヒー1杯奢ってもらう事が今決定した。

「貴女のような人が一人でいるなんて、勿体無いですね。」
『…いやみ?』
「まさか、そんな訳ない。」
『どうせ独り身ですよー』
「本当に?…じゃあ、これを。」

笑顔で差し出されたのは、見事なまでのアイリスとバラの花束。驚きつつも手にとると、花の良い香りが広がって思わず笑みが溢れる。

「……気に入って頂けました?」
『うん…綺麗!』
「笑顔が可愛いですね、なまえ。」
『! な、何、突然』
「ねぇなまえ、知ってますか?」

花束を持っている私の両手をジョルノはそのまま両手で包み込んでくる。まるで恋人達がするようないきなりのスキンシップに、いよいよ戸惑いを隠せず全身に力が入ってしまった。

「アイリスの花言葉は"貴女を大切にします"。バラは知っての通り"情熱、熱烈な愛"…」

言いながら彼は私の頬に優しく触れてくる。年下なのにこの色気は一体どこから発生するものなのか、目を逸らしたいのに、逸らしたら捕食されてしまうのではないかという錯覚に陥ってしまい、何もなすすべがない。

「この意味が判りますよね?」
『……ジョルノ、待って』
「待てません。気持ちを聞かせて欲しい。」

ジョルノの熱く乞うような視線と、周りからの視線と、頭に上った血のせいで熱くなる頬。駄目だ、こんな展開になるなんて微塵も思ってなかった。キャパオーバーだ。

『…っあの、』
「…すみません、困らせてしまいましたね。」
『ううん…ただ、驚いて…』
「じゃあ明日でいいです。返事は明日でいいので、聞かせて下さいね?」
『へ?』

私の頭を撫でてから席を立った彼。ニコリと笑ったその笑顔に見惚れていたら、頬に軽く口付けされた。

「また明日、ここで会ってくれますね?」


いたずらっぽくニヤリと笑ってから、小さく手を振って去って行ってしまった彼。

残された私は、頬の感触と花束、ジョルノの言葉に酔ってしまったかのように、ボーっと彼の背中を見つめる。それから、周りの客からの拍手に身を小さくして、顔を多い隠すしか無かった。



20121107

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