仗助とサボり


清々しいほどの快晴。日差しはほんのりと暖かいけど、吹く風や空気はキリッと冷たくて秋を感じさせられる。屋上はこの時期寒いけど、それでも授業を抜け出してこの場所で過ごす時間が私は好きだった。
理由は色々ある。単にこの屋上という場所が、見晴らしも良くてとても好きだから。あとは…

「おっ!なまえ先輩みっけー。」

この男、東方仗助の存在だ。

『…また来たの?』
「いるかなーって思って!」
『あっそ。』

素っ気ないように答えるが、実は最近、彼と一緒にいる時間や会話が少しだけ楽しみになってしまっている。2つ下の後輩は、不思議な魅力でいっぱいだった。
視線を空にうつすと、仗助はいそいそと私のいる所までやってくる。ニヤニヤとして、まるで子犬のようだなといつも思ってしまう。

「うーっ…寒いっスね!」
『寒いなら来なきゃいいのに。』
「先輩に会いに来てあげたのにそんな言い方するんすか?」
『来てって頼んでないし…』

なんて生意気なんだ。
溜息をつく私をよそに、仗助はおもむろに着ていた学ランをバサリと脱いだ。寒いと言ってたのに一体何がしたいのか理解が出来ず、彼の行動を見守るしか出来ない私に、仗助は突然ねぇねぇと話を振る。

「なまえ先輩寒い?」
『…まぁ、肌寒いくらい?』
「っスよねー!俺もちょっとだけさみぃ。」
『?なんで脱いだの?』
「……こうするんスよー!」

バサリと音がして、視界が狭くなった。同時に感じるのは締め付けられる腕の感覚と、仗助の匂い。3秒ほど遅れて理解した…どうやら学ラン越しに仗助に抱き締められているらしい。

『!? な、にすん、の!?』
「これなら暖かいっスね〜」
『は!?ダメ、離して仗助!』
「…やだね。」

急に声音が変わった。さっきまでの調子はどこへやら。その低音に思わず抵抗をやめると
グッと耳元に顔が近付いてきて、恥ずかしさに顔を逸らしてしまった。

「先輩の事好きって何回言えば判ってくれるんスか?」
『……冗談、やめてよ』
「本気だって判ってもらえないなら無理矢理でもキスするぜ?」
『っ!?』

耳から直に脳に伝わる言葉に、一気に心臓が早く脈打つ。隣にいるこの男は本当に仗助なのか?どうしよう、流されそう、やばい。

「……なーんつって!」
『…ぇ、え?』
「なまえ先輩が嫌がる事はしないっスよーでも本気なのは本当だけど。」
『……ぁ、そう…うん…』

また人が変わったように、今度は子犬のようにぎゅうぎゅうと抱き締めてきて、これはいつも通りの仗助だ。
腕の中の私はもう頭が追いついてない。ただその温もりの中で、ざわめきだした心臓を宥めるのに必死にだった。


20121103

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