以前、後ろから挿れていた時期もあった。
前からは臨也にとって少々辛いであろう体位だったので少しでも負担の少ないようにしようとそうしていた。
しかし臨也が怖いと泣いて以来余りしないようにしている。
顔が見えない、シズちゃんが見えないと迷子のように不安定に静雄を求めてくる臨也はとても痛々しかった。
それからだった、愛し合う行為で臨也の負担を減らす為だった執拗な愛撫の中に臨也に愛される喜びを知って欲しいという想いも込めるようになったのは。
静雄はきちんと理解している。
優しく包まれる事を知らずに、それでも誰かの愛を求めているのにその方法が解らない。
プライドが邪魔して中々手を伸ばせないのも毎回優しく触れられる度どうすればいいのか分からず不安になっているのも。
知っているからこそ、あの日泣き叫ぶ程の痛みを押さえ付けてまで自分を求めてくれた臨也を、慣れない心地良さに変わっていく自分に逆に恐怖している臨也を静雄はさらに愛おしく思ったのだ。
「挿れるぞ」
「ん…、んぅ……っ、ぁ」
ズプズプ…と生々しい音を立てながら静雄の猛りを飲み込む臨也はキュッと静雄に絡めた腕に力を込めた。
しかし高められた熱は行き場を失い腰に震えをもたらせる。
ぶるん、と腰が震えた瞬間、それが原因で静雄の昴りが臨也の弱い場所をえぐりながら挿入された。
「あぁ、あっ!?ああぁ――っ!!」
感極まった声を上げながら焦らされていた熱に堪えきれず臨也の中心からぴゅっと小さく白濁が噴き出す。
「ぁぅ……っく、あ、ぁ、し…ず……」
「っ……大丈夫、だ、落ち着くまで待ってる」
軽く達してふるふると震えながら余りの快楽に涙を流し静雄をきつく抱きしめる。
そんな臨也を子供を宥めているかのようにキスをしながら静雄は動きを止めてくれる。
しかし寸止め状態が辛くない訳が無い。
熱い溜め息を吐きながら静雄は臨也の内壁の収縮を堪えて顔を僅かに歪める。
臨也から見えないように臨也を抱きしめながらだったが静雄の苦しげな吐息は臨也に届いていた。
「ねぇ…へい、き、うごい、て?」
「けどよ、」
「い、の、シズちゃんだから……いいの」
もうこんなに気持ち良い。
臨也は静雄になら何をされても構わないとさえ思っていた。
乱されるのもそんな自分を見せるのだって静雄だからだ。
満たされた分だけ彼も満たしてあげたい。
彼は静雄と同じくそう思って静雄を煽るようにキスを送る。
まだ身体の震えは止まっていない。
けれどもそんな事をされてはいくら静雄でももう我慢は出来なかった。
腰を掴み静雄はグリッと熱を根本まで臨也の媚肉に捩込んだ。
「あぅっ!?あ、あっん、あぁっ!」
「っ……、い、ざやっ、臨也っ」
「ひぁっ、ふ、んんっ…、ぁふ、あ、あぁっ!!」
今まで取り繕ってきた物全てが剥がされていく。
それは我慢できないぐらい怖いし、不安になる。
けれど、静雄は何度も何度も造作もなく自分を攫っていってしまうから・・・。
こうなったら何処までも堕ちていこう。
これまでの臨也であればそれを堕落と言って笑っただろう。
それでも良いと、良いのだと静雄が言うのなら・・・。
彼なら・・・別に良いと思った。
本当にシズちゃんは勝手だよなぁと内心笑ってしまいそうだった。
しかしそれを見計らったかのように突き上げる動きが早くなって一気に頭が真っ白になる。
「ぁ、いっちゃ、イっちゃうっ、よぉ……っ」
「わり…っ、俺、も」
「ん、んっ、ずちゃ……っ、いっしょ、イこ………?」
臨也は言いようのない充足感にふわりと笑う。
快楽と幸福感だけを感じながら浮かべられるその笑みはとても魅惑的で静雄を誘う。
遂に前立腺を勢いよく先端で突かれ臨也は果てた。
続いて絶頂による内壁の締め付けにきつく絞り上げられ静雄も臨也の中へ熱を放った。
一滴も残さないように内に注がれそして熱が引きかない内に静雄が倒れ込むようにして臨也を抱き寄せてくる。
まだ感覚には馴れない。
けれどこの瞬間だけは何もかもを忘れて彼の中に沈んでいく。
いつか素直にこの優しさに溺れられる日が来るのならそれはそれで幸せなのだろうと臨也は思いながら静雄の背中に腕を絡め直した。
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