別にお腹なんて減ってないよ


公式サイト見てテンション上がって書いたもの
※フライング


身の丈の何倍もある巨大なハンマーが容赦なく敵の脳天をかち割る。パッパッと服についた汚れを払い帽子の位置を直している彼は何を隠そうキノコ王国のスーパースター、マリオである。だが体は紙のようにペラペラで、そして何よりボクもマリオだ。何の因果か不思議な本から出てきたペラペラな紙の世界の住人。
彼は不思議な力を持っている。もちろんボクだって負けてないけれど、生身の体には限界がある。でも彼は飛行機になったりコピーを作ったりいかにも紙ですとやりたい放題だ。隣のルイージも最初見た時は目を輝かせていた。そんなこんなでボクは自分自身に憧れと畏怖の念を抱いているのだった。

彼は口数がかなり少ない。まだ会ったばかりということもあるのだろうか、喋ったところを見たことがない。もしかしたらボクが聞いてなかっただけかもしれないけど、とにかく無口だ。じーっと、その黒い折り紙を切って貼り付けたみたいな感情の読めない目を見つめてみる。あちらも思うところがあるのか、それとも何も考えてないのか、動かずに見つめ返してくる。

「………」

はてさて何を考えているのか。一応自分だからなんとなく、読めそうな気はするんだけど。 むむ、と眉間にシワを寄せて真っ黒な目の向こう側を覗こうと睨みつける。つんつん、と腕をつつかれた。

「ねえ兄さん、この状況すごいシュールなんだけど」

ああもううるさいよルイージ!それには同意するけどもう少しで読めそうなんだから!

「……わかったぞマリオ!君は今、スパゲティが食べたいと思っている!どうだ!」

びしり、と指差せば感情が読めなかった目が大きく見開かれる。なんでバレたの、とでも言いたげだ。よし、勝った!

「……今日のお昼はスパゲティにしようか」

やたら微笑ましげにルイージが言った。実はボクが今思っていることをそのまま言ってみただけなんだけど、さすが自分。案外当たるものだ。

20151030

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