リンクとルフレ


はぁ、と重い息を吐くルフレに、憎たらしいほど爽やかにリンクは笑ってみせた。青い髪に思いを寄せていたルフレはその笑顔を苦々しく見つめる。

「別にいいじゃないか、一人くらい警戒してるやつがいても」

Xの頃は亜空事件とかあって荒れてたしな、と頬杖をつくリンクに、そういうことじゃないとルフレは睨んだ。琥珀色の瞳を伏せる。

「ルキナは平和に慣れて無さすぎる。こんな世界なんだから、少しはリフレッシュしてほしいんだ」

リンクはふ、と息をついて、皺が寄った軍師の眉間をぐいと押してみた。小さく悲鳴をあげてよろけるルフレは、線が細い。それでも乱闘では器用に剣と魔法を使いこなすかなりの強敵であり、心強い味方であることを、リンクは知っている。それに頭もきれるので、敵に回したくないやつトップ10に入るほどだ。
頭はきれるが、同時に石のように硬いな、と思う。眉間を押さえて不機嫌そうにこっちを見たルフレに、リンクは大丈夫だと断言してみせた。

「別に心配しなくても、ここで長いこと生活すれば誰だって角が取れてカービィみたいになるさ」

「…それは、どうなんだ」

「あ、さては信用してないな?」

明後日の方向を向いたルフレに、心外だとリンクは唇を尖らせた。

「でも本当のことなんだよ。クッパだってあの魔王だってかなり丸くなって今は乱闘を楽しんですらいる。……どっかの誰かさんだって最初は戦いを楽しむなんてどうかしてるーとか言って暴れてたらしいけど今は毎日のようにトレーニングしてるしな」

リンクが言うそのどっかの誰かさんを、ルフレは想像できなかったし、リンクの言葉に納得もできなかった。
眉を寄せる小難しいその頭を、リンクはもう一度とん、と押した。

「時期にわかるようになるさ」

わかるようになるのだろうか。ここで生活すれば。ルフレはまだリンクのように楽観的に考えることができない。第一この世界に自分がいていいのかさえ、まだわからないのだから。二度押しても真っ直ぐにならない皺を見て、この心配症は治るのに時間がかかりそうだとリンクは肩を竦めた。

20150502

prev next

[back]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -