『じょーちゃーん』
『おーい姉チャンよー』
「なんだねちーくんあんどキバゴ君」
『落ちこんどるならもうちょい落ちこんどるーいう体勢とりんしゃい』
『何でブリッジ状態で普通に会話できるんだよすげぇな』
「今ねー私はねー必死こいて落ち込まないようもがきまくってんだよー」
『千陽が言いたかったのはそうではなくだな』
わかってますー・・・・
ブリッジ体勢のままベッドの上でもごもごする私を、ため息交じりの顔で見る昴。お茶飲みながらんーと唸る千陽。何故かいて、お茶がしに手を出してるキバゴ君
「よーせーなーつがーむーねーをーしーげーきーするーっ なっまあーしーみーわーくーのーまーっあーめーいどぅー!」
『本にしりあす嫌いじゃの』
『必死だな』
『しりーあす?』
『まぁ、真面目な空気の事だ』
べちゃんと体力の限界で体を崩した。間髪入れずに置きあがろうとした顔をぼふりとクッションが襲撃した。
「すっくん?」
『1つ言うがな。お前のその突飛な言動と暗い空気を嫌う故のフットワークの軽さは長所だ』
「……とおまわしに、うざいって、言われましたが?」
未だにぐーるぐーる面倒くさいくらいに回るみこりん、もといミコト君のセリフ。暗くなった視界が心まで暗くしそうで嫌になって、クッションを払いのけようとしたらその前にばっと取っ払われてしまった。あ、
『ボール、だせ』
「ん?」
『一個くらい持っているだろう。出せ。投げろ。ああもう面倒だ鞄を出せ俺が出す』
ぼんとリオルの形に戻った昴が、本当に鞄を漁り出した。え、ちょ、なにやってんのさすっくん
『どうやったら、何を言ったら俺の言葉を聞いてくれる』
「…...きいて、るけど」
『お前は耳に入れてるだけだ。言葉として理解していない……あった』
投げられた赤と白のボールをキャッチして、投げた昴を見る。立ったまま動かない。
『……千陽は、お前の言葉が嬉しかったと言っていた
「オッドアイもえ」だか叫ばれて、嬉しかったと言っていた。俺はそういうお前になりたい』
「オッドアイ萌えって叫びたいの?」
『違う、』
ベッドに腰掛けたままの私の足元に立って、見上げるすっくんの目は真剣だ。私がふざけても、その言葉も打ち返さずに内包するような、そんな真剣さ。
『言葉だけでお前は千陽を救った。そんなお前になりたいのに、言葉がいけないのか、思いの強さが問題なのか。なら思いをどう言葉にして伝えればいい。お前の”手持ち”になれば、俺の言葉はミコトと同等の重みを持てるのか? ミコトの言葉を俺の言葉で帳消しにできるのか?』
「…………」
『お前のその明るさのおかげで千陽が今笑って一緒に旅ができている。俺も一緒にいたいと思った。それでも足りないならせめて俺の慰められるような体勢で喚いてくれ、相棒という立場を見失いそうになる』
「……………初めて、だったんだよねぇ、友達っぽいのができたの
気ぃ合う感じしたし、それなりに手ごたえあった、きがして、さ……あーもー…..」
びたんびたん体を前後に大きく揺らしたら、思いっきり前に出た瞬間に頭を遅く強烈な重力。いや、単なる重みだ。首折れる。
「はい、ちー君もんだい」
『何じゃ』
「リオルの平均体重は?」
『20kだったのう、ちなみに昴君は21k』
「ミジュマルは?」
『6k、儂は5kちょいじゃがの』
「キバ、ゴ」
『18k?』
「なにがいいたいか、わかるよねー……」
『まぁ、今の嬢ちゃんの首にかかっとる重量の計算かのう? まぁ飛びついとる儂やキバゴ君には位置エネルギーだのなんだのの計算もあるから単純計算では済まんが、』
「キバゴ君何故参加したぁあぁぁあぁぁっ」
『んー? まぁ、ここは混ざっとこうぜって、姉チャンについていこうと思ってここ来てたわけだし』
「へ?」
『今日来るトレーナーに預ける気だったらしくてさ、俺とモノズを、まぁモノズもあの兄チャン気に入ってたみてぇだし、こっち楽しそうだしなぁって、あ、クーリングオフは早めになー』