逃げるを選択しますか? はい いいえ
「夢の煙? ほしけりゃくれてやる、探せぇ! 報酬のすべてをそこにおいてきた」

「男たちは、お金を求めて突き進む、世はまさに、大使いッパシリ時代!!」



『なんか、』

『おん』

『精神年齢が一緒なのか壺が一緒なのか・・・』

『まぁ、男女仲良きことは美しかちゅうこったい』

『大人の世界かのう』

『『いや、両方子供』』




マコモさんから、何ともよく分からない説明の後に夢の煙なるものを取ってきてとのご命令を拝命仕り現在移動中。偶然立ち寄ったミコリンも巻き込まれての大珍道中がスタートしたわけだけど・・・



「君らどうしたの?」

『んー? んっとな、散歩がてらスニーキング』

『すにー、キング』



てこてこついてくるモノズ君とキバゴ君。スニーキングって意味の理解度は低い。



『めイ、わく?』

「んにゃ、迷惑って訳はねぇけどさ・・・・お、」



見えてきた廃工場。ここに夢の煙なる物体を出すムシャーナがいるわけだけどはてさて素直にくれるかな。



「結構大人しいイメージ強いよな」

「どうする開口一番「クソだるい」だったら」

「チェンジィィ!!と叫ぼう」



和やか極まりない雰囲気、それを、ポケモンズ全員の威嚇体制がぶち壊した。



「炎嵐?」

『やーな予感する・・・ミコトちゃん、注意しなっせ』



そんな炎嵐君の声の数秒後、到着した廃工場で目にした光景に、いろんなものが一時停止する。




「とっとと、夢の煙、出さねェか!!」



足蹴にされる桃色の生き物。蹴っているのは、最近、隣の少年と見たばかりの軍団の制服を着た男2人。




完全な現状把握をするよりも早く、隣の少年が勢いよくその男の所に向かって猛然と走り出したかと思えば見事なまでの、どこぞのアクションゲーム顔負けの飛び蹴りを食らわし始めた。



「・・・なァに白昼堂々お天道様の下でゲスイ真似してんだアァ?」



ワッツハプン。略してワップン。そんな言葉がぐるぐると脳裏を駆け巡る。ぼんやりと言うか気が抜けてると言うか。緩い雰囲気のミコリンはそこにはおらず、明らかそっちの人の風格を持った少年がそこに鎮座していた。吹っ飛んだ男1人が頭を抱えて起き上がる。もう1人は自分の目の前でないが起きたのかを一切把握しきれずにいた。



「て、テメェ! 何しやがんだガキが!!!」



そこから始まるバトル。繰り出されたチョロネコにも一切動じずに炎嵐君に指令を飛ばすミコリンの声には迷いがない。
瞬殺で動かなくなったポケモンに何とも情け容赦のない罵声をけしかけるあたりコイツは真性のドエスと見た



「え、あ、うわー、格好いいね、良い子は真似しちゃいけないレベルだけど」



素直に呟いた感想は思いのほか響いた。こっちを見る被害者と容疑者の視線が、私のトルソーあたりに注がれる



「え、いやん」

『嬢ちゃんそれ多分ちゃう』

「あ、まじで」

『俺もそう思わなくもねぇってか・・・



何で姉チャンカメラ構えてんの?』

「あ、キバゴ君も写ればいいよ、ちょうどいいし使っとこうと・・・ヘイポーズ!!」



訳が分からない、そんな感じで固まるキバゴ君をカメラで撮影して、ポケットにしまう。殺気だったミコリンが呆然とこっちを見ているのが見えた。



「イジメ、カッコワルイってジャケットプレイしながらべらべらしゃべる気はないけどさ、きゃーって言われたくなかったらとっととどっか行ってくんないかなぁ」

「はぁ?」

「よし立ち去る気ゼロと見た、私の本気の悲鳴車のクラクションと同じレベルだって言われたことあるけどよかろうか、」



ここで仲間呼ばれたりまだだ!! って立ち上がられたらたまったもんじゃない。吸い上げた酸素を余すことなく、声に変換する程度の能力を持つ私に、さしたる障害はない。




「キャアアアアァァァァァアァァァアァァア!!!!!!!!!!!!!!」






ヤバい、という顔をした男が2人、ダッシュで逃げていくのが見えた。




































『うるさい、ちゅう、はなしじゃなかのう』

「おおう、ごめんよちー君大丈夫かね」



昴も少なからずのダメージを食らっていた。あちゃあ、ごめんて
鞄から傷薬を出してムシャーナの所へ向かう。ミコリンがぼんやり、突っ立ってるのが見えて、あ、と思った。





「あー、その、ヒサナちゃん、さ、ワリ、何で、あいつら逃がしたんだとか、んなへらへらしてるのかとか、分かんねぇや、俺」



黙るしかないってばよ。私の前に割り込んでムシャーナを介抱するミコリンの言葉を待つ。




「わり、今度会った時は、話しかけないでもらえるか」







あいさーりょうかい、さようなら我が戦友(とも)よ。ぼんやりそう考えながら。とことこムシャーナを抱えてどこかに行くミコリンから目を逸らした。




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