奇跡的偶発的遭遇
「まーこーもさーん!!」

『まこも?』

「アララギさんの友人・・・てか、悪友?」



立ち並ぶアパートのような建物の一角、アララギさんから「顔合わせくらいはしておてね(ニッコリ)」みたいな重圧掛けられてきたので門を叩いてみました。まぁ研究所で何度か会ったことあるんだけどね。




「おーいまーこもさーぁぁぁ・・・・―――――




ふ、と感じる恐怖、いや、怖気? まぁ何でもいいけど、ピンときたって感じの第六感がどこぞの女の子よろしく「逃げてェ!!」と絶叫する。




『でええぁあらっしゃああぁぁぁあぁぁぁあああぁぁあ!!!!!!!』

『死ねやクソがぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁあぁ!!!!!!!』



絶叫・咆哮・大音声!! そんな感じで扉から現れた金と紫の弾丸を間一髪の所で避けた。し、死ぬかと思った。



『嬢ちゃん!!?』

「大丈夫生きてる・・・生きてる?」

『生きてる生きてる、まぁ顔は死人のそれだがな』



顔面蒼白だと言いたいらしい昴の心配そうな視線を受け取りながら目の前で行われる死闘を見る。金色、もといキバゴと、紫、もといモノズがものすごいスピードでガチンコバトルやってる。



「あっちゃーでちゃったか」

「あ、マコモさんチーッス」

「あーらヒサナちゃん! 相変わらずいい脚ね」

『『!!!!?』』

「いえーい見よこの脚線美、マコモさんもいい乳で」

「伊達に豊胸エクササイズやってないわよ」

「さようで・・・で、あれなんですか?」




サラリと風に靡く髪をかき分けながら、マコモさんは溜息をつく。「あの子たちね、」何とも疲れた声だ。



「憎しみ合ってんのかじゃれあってんのか、毎日あんな風に喧嘩しまくってんのよ」

「喧嘩・・・・」



ふむ、と視線を目の前の死闘に戻す。モノズの方は物理攻撃で何度もドガドガキバゴを攻撃しているものの、キバゴには反撃の気配が見えない。何だあれ。




『死ね今すぐ死ね灰になって死ね押しつぶされて死ねとっとと死ねくたばれ消えろ圧殺されろ焼殺されろ刺殺されろ消え去れお前なんか嫌いだ大嫌いだ死ね滅べ無くなれ』

『おーおーすげぇな今日も、まぁ好きなだけ来いって』



あ、サンドバッグかー・・・そんな私の気分は少々ドン引き気味だ。



「殴り愛?」

「まぁそんな感じかしらねぇ、ケンカするほど仲がいいって言うけど、あの子たちもそうなのかしら」



ひったすらに殴打と蹴撃を繰り返しまくる2匹。突然ぷっつりと糸が切れたようにモノズが止まった。



『・・・・・・・あ、ぅ・・・?』

『ん、お帰りモノズ』



訳が分からなくて、まぁ話でも聞いてみようと近づいてみた。もしもーし



「へいぼーい」

『な、ニ?』

『何かようかい?』

「いやね、君ら何であんなに楽しそうにボコり合ってんのかなって」




ぽかぁん、そんな擬音の2匹の気持ちはよく分かる。貴様、私の言葉が分かるのか!!? みたいな感じか



「まぁ世の中そういう人もいるんだよ」

『そう、カ・・・』



恥ずかしそうに。キバゴの後ろに隠れるモノズ、さっきまで呪詛みたいに呟きまくってた嫌悪感は一切ない。むしろ「お兄ちゃん怖いよぅ」みたいな。



『たまぁにまぁ、プッツンってなっちまうんだよ、どっちかが』

「ほう」

『・・・デ、ふらり? ふたリで、発散、シテる』

『2人じゃなくて2匹だろーが』

『あ、レ?』



奇跡的偶発的遭遇




「すみませーん、マコモさんっていますかー」

「あれ、ミコリンじゃん」

「お、よーヒサナちゃん」




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