まねっこどんどん



最初のポケモンが千陽ことミジュマルだったからという理由で緑髪のウェイターさんことデントさんが対戦相手になった。控えるはヤナップ。え、なにその後出しじゃんけん。



「ここは、ブルートフォースで行くしかないか」

『ブルートフォース?』

「総当たり〜? てかゴリ押し?
本当はパスワードとか忘れたときに0000から9999まで地道にやることなんだけどね!」



未だに俯いたままの千陽の脇を鷲掴みにして肩に乗っける。うおっふさすが5kg重いね!



「いいかねちーくん、この期に及んで何考えてんのかは私にゃわからん。言葉分かるっつったって心が読めてるわけじゃないんだ正直そこ考えるべきなんだろうけど今の私は公式試合って響きで心臓バクオングだからもはや気の利いた言葉は言えない。まじすまぬ。」

『嬢ちゃん本に暗い空気苦手じゃの』

「大っ嫌いさ
ただねーちーくんや・・・・・私はちーくんが大好きなんだよ、だから、手ぇ離す気ないから覚悟するがいいわ!!」



いつか隻眼のーとかワンアイズーとかそういうあだ名つけられるレベルにしちゃる。そういやホタチって剣になるじゃん。隻眼の剣士? 何それ胸熱。



「準備はいいですか?」

「バッチ来いっスよデントさん! カノコのヒサナ! いざ戦場に身命を賭さん!!」

「いきます。出番ですヨーテリー!」



昨日考えた・・・ってかゲームから丸パクリした渾身の決め台詞は鮮やかにスルー、くっそもうちょいひねろっかな。



「さて、行ってらっしゃい千陽くん!!」

「っ応!!」



両者気合十分、ずっと戦ってたりしたけど千陽が異様に気にしてるってだけで片目特有のハンデである距離感がうやむやになるっていう点はもう克服されている。シェルブレードで的確に飛んできたロックブラスト叩き落としたときはガチの剣士かと思ったくらいだ。そして何より千陽はガチンコ勝負系、なんなら私のすることと言ったら・・・戦闘スタイルを考えた上での指令出し。これのみだね



「ちーくんダッシュ! 敵の懐めがけて”シェルブレード”!!!」

「避けてください!」



シュルンスタッと擬音でもつきそうなほどの転換で最初の位置に戻るヨーテリー。なるほど真っ向勝負はしない口か・・・
一っ跳びで私の少し前辺りまで帰ってきた千陽に小さく呟く



「追っかけまわして体力削られたくないしわざと隙見せてみようか、相手から向ってくるのを待つ。」



コクリと頷く千陽、ワザと攻撃をずらしてみたりホタチから手を放してみたりと何とも上手い。私も「ああもう隙見せちゃダメだってばぁ!」みたいな顔を作ったりね! 兵は軌道なりってね!
あまり動かずにひたすらにこっちに誘うための行動を繰り返して、痺れを切らしたのかヨーテリー自ら前に出るようになってきた。



「ヨーテリー、”でんこうせっか”から”体当たり”!」



来た。お膳立てはばっちり、なんと”でんこうせっか”で向かってくるというスピード勝負に出たと言っても過言ではない行為、私の口角が上がるのと、千陽がぬらりと身構えるのはほぼ同時だった



「千陽ォ! 全身全霊でシェルブレード!!!!」



向かってこない敵にイライラしていたのか、異常な速さで向かってくる敵に一閃、弾きとんだヨーテリーは少し立ち上がるもガクリと崩れて目を回した。



「ここが地獄じゃ・・・最高じゃろう?」



審判の「ミジュマルの勝ち!」という声を背中で聞くというかっこつけをしながら、千陽はどこかで聞いたことのある決め台詞を言い放った。






「ちちちちちーくぅぅぅぅうんかっけぇぇぇぇぇ!!!!」

「嬢ちゃんを真似てみたんじゃが・・・ち、調子に乗りすぎたかのう・・・ちっと、恥ずかしい」

「俺もしなければならん的な空気か、無茶ぶりすぎないか」



―――――――――――−
決め台詞はほぼ無双シリーズです。主人公のカバンの中にはPS3が入ってるっていう裏設定、深夜とかちょこちょここまめにやってます


prev next

bkm