3歩進んで2.5下がる



「え」

「・・・・・・・」

「うーんと・・・・」

「「「・・・・・・・・誰?」」」




はーい、カノコを旅立ちましたヒサナでーーっす。家出て太陽サンサンでいろいろ投げ飛ばして昼寝だひゃっほーいって3人カッコはてなで爆睡こいて目ぇ覚ましてさて行こうかお二方って見回したら二匹がいなくて代わりにポカンと呆ける少年カケル2がいた。周りに花が見えるレベルの可愛い子。くっそ撫でまわしたい



「え、なん、これ」



混乱しまくりの和服ボーイ。水干だったかな、それ着てる



「・・・・・・・・・・・・」



考える事放棄って感じでボンヤリしてる耳付きヘアバンドつけた少年。本当に誰だ



「・・・じ、自己紹介! ヒサナです!」

「千陽です!」

「昴です!」

「・・・・・・マジで?」



マジらしいです
裾をいじりながら千陽がぼんやりと空を見上げてぽつぽつ呟いて、思いついたように首を元に戻した。



「・・・・・人化現象じゃろうな・・・」

「ぱるどん?」



落ち着いた千陽が口を開く。うん。口調と声で大体わかってたけどね。見た目が、2匹揃ってイケメンなんだよしゃあない



「アララギさんが言うとったんじゃけどな? たまーに人の姿を取れるポケモンがおるそうな」

「初耳だぜんなおいしい展開」

「おいし?」

「そこは聞かなかったことにしといて・・・・・・って、昴?」

「・・・・・ん?」

「さっきから黙ってるけどどした?」

「・・・すまん、眠い」

「睡眠欲>異常事態か」



つかさっきからボンヤリしてたの眠気? 現実逃避じゃなくて? てか初対面の時と言い今と言いよく寝るね君



「・・・・寝るか」

「嬢ちゃんも十分昴くんと同じじゃね」

「いや、だっていい天気だし、カラクサシティ近場だし
まぁ人の姿でもよろしくと言うわけだよワトソン君 てことでお休み諸君」




















side tihiro




嬢ちゃんの爆睡宣言から少し経って、眠気もないからぼんやりしとったらもそりと昴くんが起きた

「起きとったか」

「一応な・・・お前も起きていたか」

「おん、寝るのが惜しゅうてのう・・・」



ゆっくりと手を上に挙げる。白かった手はなくて、変わりに人の手がにょっきり、不思議なもんじゃ



「どうした?」



いつの間にか笑っていたわしに、昴くんが声をかける。



「嬢ちゃんは不思議じゃー思うとったんよ
そしたら初めて会うた時思い出した」



結構前じゃが覚えとるもんじゃの、一挙手一投足とまではいかんが大体覚えとる。



「初めて会うた時な、『おっどあい萌えええ』ち叫ばれた」

「・・・・・・萌えというのが何かはあまり分からんが・・・それはいい思い出なのか?」

「分からん
分からんけどわしは嬉しかった」

「そうか、」



昴くんが小さく笑って、わしもへらりと笑う。今とこれからを思うだけで楽しくてしょうがない。



「これからよろしくお願いします」

「・・・こちらこそ、よろしく頼む






さてねるか」

「更に?」

「ヒサナが起きないんだ仕方ないだろう」

「旅出て100m地点で野宿じゃよ?」

「楽しいだろう」

「かもしれんのう」





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突っ込み不在


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