感謝祭作品 | ナノ
「お前の男運のなさは無情すら覚える」



何をトチ狂ったか彼氏持ちJKの服をひん剥いた幼馴染殿が、ブラの真ん中に指を引っ掻けながら溜息をつきながら言った。場所は私の部屋。電気の消された薄暗い部屋で、下でお母さんがご飯を作っているわけだが、まぁ部屋まで来ないことは熟知済みだろうからこんなことをやってるんだろう。



「やんエッチ、」

「お前の身を案じたつもりだがな、嫌なら叫べ」



冷たいのかぬるいのか判断しかねる温度の指が、晒された肌をつーっと動く。キャスターの付いた椅子に横向きに座って、ほぼビキニと変わらない外見の私を無表情に見ている。
「いち」と数えながら指がとんとん肌を叩いた。「に」「さん」「し」、人のキスマークなんて数えて何が楽しいんだか。

飽きたのか、今度は腕をサラリと撫でる。縄の跡を指が過ぎて、一部だけ体毛がなかったりあったりする部分で指を止めた。



「なんだと思う?」

「ガムテープ」

「正解」



お仕置きなんだって、と言えば、興味がないのか納得したのか、「そうか」とだけ呟いて手を離した。


束縛癖のある彼氏と何とか別れて1年、DV癖のある彼氏と付き合って3ヶ月、調教だのお仕置きだの、そう言ったプレイにやたらと経験豊富になってしまった。愚痴だのなんだののはけ口の一切を任せている法正はさして何も言わなかった。けど、初体験だ。法正が初めて私の彼氏事情に首を突っ込んできた。突っ込み方があれだが。ビビって言うべき言葉が全部スッポ抜けてしまった






「奪ってやろうか」



その気ないだろとか、そんな突っ込みは口から出かけて止まった。あれ、なんでだろ、言っちゃいけない雰囲気と言うか、



「男運ないらしいから、今度は殺されそうだね」

「そうだな、束縛の覚悟はしておけ」

「えぇえ」



嫌そうな声を出す私の腕をするりと取って膝の間に私を座らせる。接着面積を少しでも増やすように絡まる足と、犬や猫を撫でるように動く手に捕まる。逃げられない、まぁ逃げる気ゼロだけど。いいのかな、彼氏持ちがこんなこと思って



「安心しろ、この程度だ」



子供をあやすような、そんな撫で方だった。傷に障らないように、ゆっくりふんわり撫でる手が気持ち良くて心地よくて、



「その代り、不満の1つも出ないほどに甘やかしてやろう」



どろり、何て響きがぴったりな声が、耳に流された。籠絡する気満々だ。そんなふうに思って、しな垂れかかるように体重を預ければクスリと笑う声がした。
ぴったり、パズルのピーズが合うような、そんな気分。




今までの運のなさはこの人を選ばなかったからだろうかなんて、変なことを考えた。