▼ はい、あいです。
目が覚めたら、大きなワイシャツ姿で、大きなベッドで寝てた。もこもこの布団の中で目を擦って、全然動かない体にびっくりする。こんなこと初めてだ。
太陽の光が白い布団をパーって光らせるから、綺麗でびっくりした。浄化って言うんだっけ。そんな気分になる。
せんせーの匂いがする。キゼツ、しちゃったのかな、それも初めて。上手いとか下手とか、そう言う話じゃなくて、私の体がおかしかった。バスルームでのことを思い出したら、また体が疼いて、恥ずかしくなる。
あれ、せんせー、どこだろ。いまなんじだろ、見えた時計はお昼過ぎーっていってる。うわぁ、学校休んじゃった。あれ、今日土曜日だっけ、ならいいや。
「せん、せー」
声ガラガラだった。まぁ、あれだけ、わーってやったわけだから、しかたないな、お水もらえないかな、這ったら、なんとか動けそう。
「オイコラ孟徳」
ガンッ
落ちた。もう少しゆっくり降りるつもりだったのに、聴こえた声でびっくりして、
惇先生だ。何で、
「誰かいるのか」
「本でも落ちたのだろう、後で直すから気にするな」
「.......頼まれていたものだがな、これで何をするつもりだ」
「気になるか?」
「お前が近年まれにみる不機嫌である理由と関係あるのならな」
「関係はある、が、言わぬ」
惇先生の溜息が聞こえた。せんせー、不機嫌なんだ。惇先生がいなくなる感じがして、しばらくしたらドアが開いた。流石に昨日の服じゃない。ずぶ濡れだったもんなぁ。
「何をしている?」
「あ、えと、ごめん、おちた」
「.........無理をするでないわ」
せんせーの腕が私を持ち上げて、ベッドに戻す。いつもの無表情で、こっちを見下ろすせんせーの指が、お腹をとんって、さわる。ざわってした。
「昨日は安全日か?」
「あん、ぜん、びー......」
排卵日だっけ、駄目な日とかそんなあれ。出したんだ。せんせーの精液、ここに、ポンって触って、少し眉間にしわが寄るせんせーを見上げる。
「だいじょーぶだよ、私、赤ちゃんとかできないから」
「ふにんしょーなのー」て、言ったら先生変な顔した。よかったって安心するところだろーに。何で。
「だから、気にしないでいーんだよー、上書きしてくれて、ありがとー」
視線が怖くて、目の前の足に腕を伸ばしてしがみ付く。ほっぺたズボンに当てて何も言わないでいた。
「お主は、儂が高々上書き程度に抱いたと思うておったか」
「ち、がうの?」
「当たらずしも遠からずだがな、」
足から離される腕に、冷たい風が通った。上半身はそのままパタンて、倒されて、頭の横に手をつかれる。昨日の記憶が、わーって、溢れて、涙が出た。
「おぬしを、いっそ縛り付けてしまいたい、と思っただけの事だ」
「.........へ、?」
「儂の物にしたい、それが、知らぬ誰かに下種な真似をされたことが、腹立たしくてかなわぬ」
「せんせーのもの」その言葉で、固まった。うそだ、そんなの。
「何時いらぬと言われるか、それにおびえるお主が愛おしかったと言えばわかるか?」
「.......う、そぉ」
「そう言うお主とて、儂に惚れておるだろう、あれだけ熱烈な告白を受けたのは初めてだ」
告白? したっけ、
「2つの月に、好いた好いたと泣いておっただろうに」
(せんせぇ........すき、すきだよ、すきなの.........すき........すき.........っ)
お、もい、だした。聞かれてた? そんな、これこそ嘘だって言いたい。
うそだ、うそだ、知らない間に、池に落ちてたなんて、そんなの、笑い話にもならない
「こわがってないと、そばにいちゃだめ?」
「さてな、だが、」
「今のお主は、愛おしい」
そう言ってゆっくり触れた唇は、今までで一番気持ち良くて、ひたすら、眩暈がした。
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