(なんもねぇ......)
偵察にとんだ航路の先の島、ザァザア降る雨をぼろ傘で凌ぎながら進んで行くが何もねぇ。燃え尽きて炭だけになった家の残骸やら生えたばかりらしき草やら木がぽつぽつあるくらいで雨の音以外何の音も聞こえねぇ。
こりゃあ、寄っても意味はなさそうだねぃ
ポケットの中で鳴った電伝虫をとって出る。
『やぁマルコ』
「アリカかよい」
『だから姉と呼べと何度も』
「お前こそ兄に向っていい度胸だい」
コホンという咳払いの後、そろそろ着くころだと思っていたとカラカラ笑う電話越しのアリカ。どこか不機嫌に聞こえるのは俺の気のせいか。
「サッチと何かあったかい」
『......もう私が特攻するしかないのかな』
「何があったか知らねぇがあのタラシのヘタレのドビビりに特攻なんざ防御で撃墜されんのがオチだい。」
『だよなあぁぁぁぁぁ......
ふう、で、島はどうだ?』
「消し炭と草と燃えカスしか残ってねぇよい、適当に釣り隊編成して釣り糸垂らしとけ
しばらくは自給自足だろうねぃ」
『ん、親父殿に言っておく.........山火事でもあったのか?』
「島の生き物全部焼けてるだろうから分からねぇなァ......放火か.........自然発火か.........ん、」
今、何か......
『おうい、どうしたマルコ』
「悪いアリカ後でかけなおす」
その後アリカが何か言ってた気がしたが気にしねぇ。
家屋の燃えカスの少し後ろ、何かが動いた気がした。
なにか、この惨状の中生き残ったヤツがいるのか。
「......猫、か?」
べたりと地面に張り付いたまま動かない猫、死骸か? 傷と汚れがひどくて判別がつかねぇ。
「おーい、生きてんなら返事しろい」
人差し指の先でつついて反応を見る。ひくりと耳らしきところが動いたかと思いきや、
ガリッ
赤色一閃
「いて、」
(だれ、)
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マルコとアリカちゃんはどっちが上かで競う中です
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