「なー、姉ちゃんよ」
「何だいサッチ」
「結婚してくれっつったらどうする?」
「? いきなりどうした? 誰かに何か言われたか? 愚痴なら聞くぞほら」
「.......何でもない、今の忘れようか」
俺の胡坐の上に座って見上げてくるの髪を梳きながらのプロポーズは、前動作なしのカウンターで撃沈した。
世界最強の海賊 白ひげ海賊団には長女がいる。
ナースの皆様は崇拝の域、普段は会計役でそろばん片手に書類を眺め、一度戦場に出りゃどんな劣勢だろうと大将がいようとシリアスムードぶち壊してすぐさま勝ちを掻っ攫っていくゴーケツ。
昔海軍とガチバトル繰り広げた時に突っ込んできた一個前の大将の股間を蹴り上げ、いつも俺らに弟妹に向ける顔を引っぺがし「じゃあかしいこの童貞が!!」と叫び散らかして戦場を微妙な空気にしたことがある。敵さんもしばらくその人のこと疑惑の目で見てた。
この船に乗った瞬間、まぁ実際アリカを見たその瞬間から抱えた年季入りのコイゴコロ。無理無茶無駄、俺らの姉ちゃん取んなだなんだと言われようと諦められなかったコイツは何千回にも及ぶアタック未遂とつるし上げの末にアリカの即答いう形で成就した。
アリカとしては思ったままを言っただけと言っていたが弟を見るような目で見てくるのはこの6年ほど変わってない。loveとlikeの違いわからねぇとかじゃねぇよな? いやいやお姉さまに限ってそんなすごくあり得る。あり得たわ。どうしよう俺泣きそう
「サッチサッチ」
「? どうしたよ姉ちゃん」
「今日は一緒に寝よう? 何を悩んでいるか知らんが私にできることは何でもするから、」
あー、もう、この言葉にぐらつく俺の理性脆すぎだってんだよ......
アリカに聞こえないように息をして、必死に抑えて閉じ込めて、いつものへらっとした笑いを浮かべながら、
「じゃあ好きっていって?」
言葉の価値観について
「大好きだよサッチ」
「俺も大好き」
−−−−−−−−−−−−−−−
お互いに無意識にストッパーかけてる系恋人な二人。進展は一番遅い