(ちっそう・・・なってしもうたなぁ)
はるか遠くにぽつりと見えるだけになった島を見送りながら、ぼんやり思う。千弾はん......もといイゾウ様に担ぎ込まれて迎えられて、憧れの白ひげ海賊団の方々と顔合わせて、思っとった以上の大きさの白ひげさんに御目通りしてまだ心臓が騒いどる。主治医のヤガルさんは無口なお人やったけど腕と誇りと探求心はドラムを思い出す。
「黄昏てんのかいお姫ィさん」
「ややわぁそういうのはええ人相手に言わな.......別に黄昏てるんとちゃいますよ。」
にゃあ、とイゾウ様の足元を歩く猫ちゃんに目が行く。確かマルコ様んとこの猫ちゃんやったろうか。胸辺りでキラリと光る白ひげのマークを地面に当たらないようにとひょこひょこ歩いとるのが可愛らしい。
「アーシェにゃ会ったことあったか」
「まぁマルコ様と一緒おるときとかよう見ますけど、面と向かって会うたのは初めてやなぁ......初めましてアーシェちゃん、うちはカティアいいます。どうぞ良しなに」
にゃあと返事するように鳴きながらおずおず近づいてくるアーシェちゃんをゆっくり撫でる。視線ずっと合わせとくと逃げるんが普通や思とったけど猫によって違うもんやねんな........
「ここにいたかよい」
「あらマルコ様、別嬪さん独占してもうてすまへんな」
「いや、かまわねえよい」
こっちに来はるマルコ様を見止めて頭を下げれば少し顔顰めはったけどすぐに元に戻してアーシェちゃんを撫でる。懸賞金の札あんなに眼光ギラギラしよったんにこんな優しい顔しはんねんなこのお人、
「それにしてもえらいやんちゃしはる子やなアーシェちゃん」
「いや、むしろ大人しい方だと思うんだがねい」
首を傾げて訝しげな顔をするマルコ様、
アーシェちゃんを抱き上げて毛をゆっくり掻き分ける。切り傷が数か所走っとるのを見つけたのはさっき撫でたとき、
「武器庫やなんか冒険しとんのやろか、あんまり危ないとこ行ったらあかんよ?」
引き金を引いたのは
まぁ、頃合いだよな
後ろでイゾウ様が、小さく、本に小さくつぶやいた
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