殺されずに済んだ.......けど結構長い間連れまわされた。というのが昨日のまとめ。


飴玉入った大袋渡して「御駄賃」と短く言い切った千弾はん、あれれ子ども扱いされとらへん? 確かに乳やら尻やら小さいけど。



「食費......浮かんよなぁ.....」


さくさくと音をならす葉っぱを踏み分けながら山中を歩く。
流石に三食飴玉はいろんなバランス崩れる......山行ったら山菜の少しくらいあるやろ、薬草もあるやろうし
きのこ、わらび、よもぎ......あータンパク質が足らん....うさぎさんへびさんいただきます。
炭水化物はー......



「うちご飯派やねんけどなぁ」

「お、握り飯食うか?」

「あぁお構い無く........て、
な、なぁんで千弾はんがおられますの?」

「あー.......オサソイ?」



山の中腹、河原の石に片膝立てて座る千弾はん。必死につける外面は外れかけ、もー気配あらへんのやもーん.......と心の中で叫んでみる。



「逢引きのお誘いですか?」

「うんにゃ ちっと俺らの船に乗らねぇかってな」

「......は? やなかった、えっと、言うてる意味がよく・・・」

「船医として乗らねぇかって」

「それちっとどころの騒ぎやないと思うんやけど」



ぶすくれても相変わらずきれいな顔のままの千弾はんを見ながらふと考える。確かにここで誘いに乗れば金銭やらなんやらの問題すべてまるっと解決......せやけど、




「.......千弾はん、ちょお昔の話付きおうてくだはります?」

「あ?」

「.....昔、馬鹿なお医者様がドラムにおってな? その人は海やら海賊やらえらい好きやったんや......部屋に自作の海賊旗貼り付けて喜ぶくらい」

「どっかの船医か?」

「あのお人にんな腕あらしまへんよ、どっちか言ったらヤブや.....けど自分は医者や! って心は強ぉ持っとるお人やった。
まぁ今はもうお空の上の人やねんけどその人の影響か海賊さまに憧れやらもってなぁ、中でも白ひげさまんところが一等格好よぉ見えて......せやから千弾はん見かけたときはそら驚いて嬉しゅうて」

「ンな風には見えなかったがな」

「そらもう、さっきみたいに必死に色々繕いましたよって.....
まぁ、せやからこそ今のうちの状態で乗船なんかしたないんや」

「今の状態?」

「金欠で住所不定で半人前......そして何よりほぼ無一文」

「似たような言葉2こあったぞ」

「気のせいです
.........もしうちが金欠やから乗るー言うても、多分自惚れなしに白ひげ様は許可してくだはるやろう」

「まぁな」

「せやけど、白ひげ様を心から尊敬しとる方から見れば不謹慎やし、うちもそんな理由で乗りたない いくら千弾はんに誘われた言うても結局うちの懐が助かるのは事実や」



律儀だねぇ、と千弾はんの口が動く。まぁ命狙っとった海兵さんやら賞金目当ての海賊さんやら選り取り見取りなんは知っとるけど



「なら、こうすっか」

「へ、あ、ひやあ!?」



急に石から降りてこっちに来る千弾はん、いきなり手首引っ捕まれて俵担ぎ。



「な、なん、千弾はんうちスカート!」

「あ? 面倒くせェなならこれか」


そう言ってお姫さまだっこに変更する千弾はん、言葉がでて来ぉへんと言うか、もう、なんやこの状況



「あ、暴れるとスカート捲れっから気ィつけろ」

「!!?」






外面なんざぶん投げろ







「結局サッチの言う通りか」

「千弾はんどういう状況か説明欲しいんやけど!」


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はいはい誘拐誘拐
花ちゃんの言ってたバカな医者はもちろんヒルルクさん。お師匠ではないけど尊敬はしてた花ちゃん。
時系列的にはチョッパー弟子入り後3年後くらい


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