薄暗い物置の荷物をがたごと動かすこと5分.......くらいかな、少し広めの部屋の電気をつけて僕とビスタのお兄さんで剣を握る。



「......金属、じゃなさそうだな その剣」

「僕の爪、の......えっと、具、象化?」



なるほどな、と言いながら構えるビスタさんに合わせて剣を握る。す、と息を吸った瞬間に向かってきたビスタのお兄さんの剣を何とかいなして躱す。早い上に重くて、いなすだけなのに押し負けるかと思った。


ガィンと剣同士がぶつかる。切り込むタイミングがつかめずに防いでばかりだけど、ビスタのお兄さんはきっと本気じゃないんだろう。僕の息が荒くなってもビスタのお兄さんの動きが遅くなることはない。



「.......っあ、」



ギィィンッと一際大きな音の後に弾き飛ばされる僕の剣、次に迫る剣を避けようとしゃがみながら前に転がって......――――




ガンッ



「あだっ」





















「.......ぶ、くく......っ でんぐり返し.....っ でんぐり返し......!」

「イゾウ、笑ってやるな そしてアーシェは起きなさい」



勢いよく壁に背中をぶつかった僕を見てイゾウのお兄さんが笑う。変なこと、した、かな。前に足を持って行って何とか立ち上がる。埃まみれになってしまった服を叩く。



「ごめんお兄さん」

「.......っくは、構やしねェよ むしろ鍛錬で汚れんなってのが無理な話だ」



息を整えながら応えるイゾウのお兄さん、本当に何がおかしかったのか。



「受け身の取り方から.....か?」

「だろうな、あと躱し」



まあ座りなさいと言われて正座で座ればついた手がずきりと痛んだ。「やっぱりなぁ」と呟くビスタのお兄さん。



「俺みたいな奴の剣弾き続けりゃ手が馬鹿になる。手からすっぽ抜けるのもそれだろう」



避け方覚えねぇとなぁと頭をぐしゃぐしゃに撫でるビスタのお兄さん、撫でてくれるのはうれしいけれど毛がすり減ったりしないものかな。はげてしまったらどうしよう



「だが、速さと反応は中々のものだった」



にっと笑って言うビスタのお兄さん。ほめ、られた.....?



「......っありがとう!」

「センセーにゃ敬語―」

「イゾウ余計なこと言うな、折角兄と呼ばれてるんだぞ」

「地味に嬉しかった口か」

「それはお前もだろうが」



言い合って、二人そろってまた僕の頭をぐしゃぐしゃにする。





よーしこれまで!!!




「そういえばでんぐり返しって何?」

「ぶふっ」

「今度教えてやるからイゾウの前ではしばらく言うなよ?」






――――――――――――
こいつら三人はこれからも絡みます。白ひげのお色気担当コンビ?
イゾウさんは笑い上戸っぽい


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