◎つめあわせ・改
のっとパンドラつめあわせ
ワンピース・いぬぼく
◎ちびローさんとちびベビーさんの大冒険@父の日(ワンピース)
ローさん「父の日?」
ベビーさん「そうよ!そんなこともしらないの?だからドフィのためにバラをとりに行くのよ!」
ローさん「なんでおれも行かなきゃいけないんだよ」
ベビーさん「バラがあるのはとなりの島の丘なの!一人だとあぶないでしょ!」
ローさん「むしろバラがあぶないだろ」
ベビーさん「ここの海は海王類の巣なんだからすぐ逃げられるローがいないと食べられちゃうわ」
ローさん「この島にだってバラくらいあるじゃねェか。あとおれは空飛べるわけじゃないぞ」
ベビーさん「あの島のバラがいいの!いくわよ!」
ローさん「くそっ…今日は一日本読んでるつもりだったのに」
〜
ドフィさん「二人が出かけた?」
ラオG様「ボートがほしいというので貸してやりましたが、隣の島まで行くのだとか。まあ、子供とはいえ能力者。そう危険なことにはならんでしょうな」
ジョーラさん「まあ、今日は…おほほ、二人の好きなようにさせてあげて下さいまし」
ドフィさん「……、」
〜
ローさん「おいうしろ!死ぬぞバカ!」
ベビーさん「うるさいわね!わかってるわよ!」
〜
ベビーさん「……、」
ローさん「だから危ねえっていっただろバカが」
ベビーさん「オール…折れたらもうボートこげないわ」
ローさん「チッ……おい、つかまってろ。時間はかかるがドフィのとこにはもどれるから」
ベビーさん「……いやよ。ドフィにバラをとってくるって決めたんだもの」
ローさん「そんなこと言ってる場合か!日がくれたらもっと海王類どもが寄ってくる!最悪死ぬんだぞ!」
ベビーさん「いや。もう時間がないの。明日までにぜったいバラをとるのよ!」
ローさん「……、島にもバラは咲いてるのにどうしてそこまでするんだ」
ベビーさん「あの島のバラが特別だからよ。島で潮風にさらされない場所はほとんどないわ。でもあそこの島の丘なら潮風にあたらないで育ったきれいなバラが咲いてるってきいたのよ」
ローさん「……おれたちの島のバラでもあいつは怒ったりしない」
ベビーさん「自分が届けられる一番きれいなものをあげたいの!父の日なんだから!……ねえ、せめて島まではつれていって。このボートはローが使って帰ればいい。帰りは自分で泳いで帰るわ」
ローさん「そんなことさせられるか」
ベビーさん「…帰るのはいやよ」
ローさん「くそっ、わがままなガキだな」
ベビーさん「ローだって私とおんなじ子供じゃない!」
ローさん「……チッ」
〜
ローさん「途中で離して落ちても拾わないからな」
ベビーさん「わかってるわよ!」
ローさん「……ROOM!」ヴォン
ベビーさん「あ、あれ!あの流木と変わればいいわ!」
ローさん「気がちるからだまってろベビー5!こんなところで使ったことないからまだうまく定まらないんだよ!」
〜
ローさん「はぁ、は…」
ベビーさん「ありがと、ロー。ここからは私につかまればいいわ」
ローさん「まさかミサイルになって着地は爆破とかいうなよ…」
ベビーさん「……だめ?」
ローさん「おれが死ぬだろ」
ベビーさん「しかたないわね。肩かしてあげるから歩くわよ。丘までそんなに遠くないわ」
〜
ベビーさん「あ、あれ!よかった、あったわ!探してたバラよ!」
ローさん「そうか…よかったな…」
ベビーさん「ちゃんとローの分も摘んであげるから一緒にドフィにわたしましょう。きっと喜んでくれるわ」
ローさん「……っ」くらっ
ベビーさん「ロー?…え?」
ローさん「……、」
ベビーさん「ちょっとロー、どうしたの?ねえ、こっち見なさいよ!」
ローさん「…は……」
ベビーさん「!嘘、熱だしてる……私が無理させたから?それともあの時海王類に……水筒は流されちゃって持ってないし薬草なんて私じゃわからない……ねえロー、おねがい、しっかりして…!」
「…あんまり揺らしてやるな。疲れただけだろう」
ベビーさん「…え?」
ドフィさん「ラオGがガキ二人だけで海に出したというから来てみればこの様子か」
ベビーさん「ドフィ…!ごめんなさい、私が付き合わせたからローが…!」
ドフィさん「貸せ。早く帰って寝かせてやった方がいい」
〜
ローさん「う……?」
ベビーさん「よかった、もう目が覚めたのね」
ローさん「おい、なんで戻ってるんだ…?」
ベビーさん「あの後ドフィが迎えに来てくれたの。ごめんなさい、あんなに無茶させて、私が悪かったわ…」
ローさん「…バラは……?」
ベビーさん「摘んだまま…置いてきちゃったみたい」
ローさん「……おれが倒れなかったら持って帰れたのにな」
ベビーさん「もういいの。自分一人じゃいけないくせにわがままを言ったからこんなことになったんだわ…ほんとうにごめんなさい」
ローさん「別に、いい…おれも、まだ一人じゃろくに島を出られないってわかったから」
ベビーさん「……ロー。もうちょっと、寝た方がいいわ」
ローさん「……いつか…独りで……」
〜
ドフィさん「…フッ」
ジョーラさん「あらあら素敵なバラだこと。どうされましたの?」
ドフィさん「拾い物だ。ガキを迎えに行くついでのな」
ジョーラさん「この島ではそこまで綺麗なものは手に入らないのではなくて?どこまで行ったのやら」
ドフィさん「……さあな」グシャッ
ジョーラさん「あら、せっかくのバラを」
ドフィさん「見てくれは立派だが、温室で育ったつまらん花よりは汚くても潮風に晒された花の方が性に合う。囲った中で風に晒して育てる方が楽しいからな」
ジョーラさん「素直に受け取ればよろしいのに。あの子達も喜びますよ」
ドフィさん「……純粋な気持ちだけなら受け取っていただろうがな」
ジョーラさん「え?」
ドフィさん「なに、バラには必ず棘があるというだけだ」
◎書きかけ連残現パロ序章(いぬぼく)
腰が痛い。
鉛が詰まっているかのようにずくずくと鈍痛が響いて、かすかな車内の揺れが過敏になった神経を逆撫でる。
(何でこんなことになっちゃったかな)
電子の海を渡って偶然出会った、ただそれだけだった。面識のない、本名すら判らない人間と二、三言葉を交わしただけで行き着いたのはこの惨状だ。
携帯に浮かぶ時計を見れば既に二つの針が重なり合って天を指している。出掛けたのは昼過ぎだった筈だ。回らない頭で何とか算数をしてみると、四、五時間は嬲られていた事になっていた。
小さな携帯端末から繋がる世界では満たされなくなり、傲慢にも現実で淋しさを埋めたいと願った罰なのだろうか。
どんなにくだらない事でもいい。向かい合って話を聞いてくれれば、話を聞かせてくれれば、それだけでこのどうしようもない淋しさから解放される筈だったのに。
安易な気持ちで会う約束を取り付けた自分は愚かだった。
一人だと思っていた相手は複数で、求められていたのは言葉ではなく身体だった。
一つ一つ何をされたかなど覚えていられない程の無体を強いられ、解放される頃には声すら枯れ果てていた。
ふらふらと迷い込むように乗込んだ電車に揺られてもうしばらく経つが、まだ満足に声は出ないだろう。このまま寝てしまえば回復するだろうが、そんな事をすれば家に戻れなくなってしまう。あの男達から少しでも離れたいと必死になったせいで財布の中身すら確認していなかったのだ。電子通貨のおかげで電車には乗れたが、札が抜き取られて小銭ばかりの財布の中身ではネットカフェで一晩、などといった行動はできない。
体力が戻らなくても安い交通手段がある内に戻らなければならなかった。
頭では考えていても、回復しない身体は必死に休息を求めてくる。 騙し騙し動かしてきた脚もそろそろ立っていられなくなりそうだ。
(あ、やば)
そう思っている内に一際大きな揺れが車内を揺らし、吊革から手が離れる。
どうにか踏み留まろうとついた脚からは簡単に力が抜けて――そのまま、崩れ落ちていった。
(あー、結構疲れたなー)
急に電話が来たかと思えば空いてしまったシフトを埋めてもらえないかとの連絡で、特に予定のなかった自分は二つ返事でそれを了承した。高校にバレないように少し遠いバイト先を選んだのは間違ってはいないと思うが、こうして帰る時の移動の怠さは何とも言い難い。
無駄に長い移動時間を埋めるために普段なら携帯を弄って遊んでいるのだが、あいにくと今は充電切れ。今日バイトだって思わなかったしな、と携帯充電器を持ってこなかった自分を恨んでみても空いた時間はどうにもならない。仕方なく窓の外を眺めるも真っ暗なガラスは気だるい自分の顔ばかり映している。
(夜の窓ガラスって鏡みたいだよなー)
ピントをずらして自分の後ろを見てみると、同じ様に疲れた顔をしたサラリーマンやOL風の女、遊び疲れた様子の若い男女が思い思いに移動時間を潰している。そのほとんどが手元の携帯を弄っているのを見て微妙に恐怖を感じたあたりで、ガタンと電車が揺れた。
「っと、」
カーブに差し掛かったらしく揺れる車内では何人かが自分のようによろけ、脚をつく。
自分や隣の若い男も同様に体勢を崩し――そのまま、隣の男が踏み止まれずにこちらに向かって倒れてきた。
(え…っ?)
反射的に空いた片手で支えるも自力で身体を支える体力がないのか、ずるりと崩れ落ちてしまう。
床に倒れさせるのはまずいだろうと肩を支えてギリギリ持ち堪えるが、一向に男は動かない。
「おにーさん、大丈夫?立て…」
やや乱暴に引き上げて、思わず言葉が止まる。
(…マジか)
引き上げた男の目は閉じられて、ぐったりと頭を垂れていた。どうやら意識がないらしい。
酔っぱらいか、体調不良なのか。
(え、これ、どうすればいいの?)
座席に押し込めばいいのか、それとも自分の降りる駅で駅員に引き渡せばいいのか。
まじまじと倒れてきた男の顔を見ると、まったく酒臭さがない代わりに酷く顔色が悪く、呼吸が荒かった。
(これは…駅員コース、かな)
少なくとも放置しておいていい状態ではなさそうだ。
そうしている内に降りる駅に着き、駅員に預けようと未だ意識の戻らない男を連れて控え室に向かう。ホームに駅員がいなかったのは不幸だったが、ここなら誰かしらいるはずだ。だが、ノックしても返答がない。
「…あれ?」
念のためもう一度叩いてみるが、反応はなかった。
疑問に思っていると、耳に少々焦り気味のアナウンスが飛び込んでくる。
どうやら、同じ駅にある別の路線のホームで何かあったらしく、そちらの対応に人員が割かれているらしい。トラブルは起きたばかりのようで、あとどれだけ待てば人が戻ってくるのか予測できない。となると、あとは。
「……、」
肩を貸した男をじっと見てみる。 相変わらず意識はなく、顔色が悪い。赤みがかった紅茶のような髪色に細い肩は女のようだが、どちらか判らないほどでもない。後で女だったという展開もなさそうだ。
(……男なら、泊めても怒られたりしないよな)
怠い身体に加えて、新たに荷物がひとつ。
家につく頃には怠さは疲れに変わり、玄関口に崩れ落ちるように荷物ともども座り込んだ。
ついったよりサルベージ