◎あなたへひかりの花束を※
のっとねた。
本誌重大ネタバレ注意。
(シャロン=レインズワースからザークシーズ=ブレイクへ)
「私はいつだって自分勝手な人間ですから」
「だからもしもの時、君の大切な涙を私のためなんかに流してはいけないよ?」
嘘つき。貴方は嘘つきだ。
嘘つきでずるくて勝手な人間だ。
私には涙を禁じたくせに、貴方は最後の涙を私達にくれた。
透明であたたかくて、言葉にならない感情が溶け出した涙を。
貴方は今、どこにいるのだろう。晴れ渡った金色の空の下、思い出達ともう一度出会う長い長い百年の旅へ踏み出したのだろうか。
一つだけ願いが叶うなら、どうか少し、ほんの少しだけその足を緩めて欲しい。
私達が貴方を追いかけるとき、少しでも早くその背中に触れられるように。
ねえ、ザクス兄さん。
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「ねえザークシーズ、ここからは貴方が駆け足で通り過ぎてきた全てに足を止めなさい。これまでの半分の早さで歩いて行きなさい。これから貴方に与えられる旅路は、貴方の生まれてからたった今までを倍にしてもまだ余るだけの時間があるの。……だから焦らずに、ゆっくりお行きなさいね」
「…はい、シェリー様」
(あなたへひかりの花束を あふれる祝福がその旅路にあらんことを)