[ 8/11 ]


翌日。


私たちは安西さんを、"ふるさと"の前で待っていた。


昨日、安西さんについて少しほど調べ、そして安西さんに今日の約束をとりつけた。
今日は、安西さんに私達が考えた事件の全容を述べ、正しい動機も聞きその上で美恵さんのところへ一緒に行くつもりだった。


勿論、この結論が当たっているとは言い切れない。


だが、恐らくは安西さんであろうと思う。
美恵さんの見た犯人像や安西さんの過去…それらを含めつじつまが合うのだ。
動機も含め、ということである。


「どうしましたか?」


物腰のやわらかい安西さんにこれから語るのは少し気が引けた。
けれど美恵さんをこれ以上危ない目に合わせるわけにもいかない。
話さなくてはいけないのだ。


「安西さん、貴方は小桜美恵という女性を知っていますか?」


目を少し見開き、動揺した表情を浮かべる安西さん。


「いえ、わ、私は…」


「心当たりはありませんか?
では、これから話すことをよく聞いて下さい。


単刀直入に言えば、美恵さんのストーカーを安西さん貴方がしていました。


散歩を毎日かかさず、定刻にしますね。
研修の方から聞きましたし、張り込みもしました。
ただし、日によっては"ふるさと"の皆さんと一緒のときもありますが。


まずその時間が一致しています。


それから美恵さんの話していた犯人像―"黒い服"、安西さん散歩のときに着用されていましたね?
次に"靴"―これも研修の方から聞きましたが、お姉さんとお父さんの生命保険と元々が裕福な家庭だったことよってそこまで高い靴を履いているんですね。
身長もそれで補っているんでしょう?
最後に"白髪"―尤も今は染めているようですが、鬱により白髪が生えてしまった。


美恵さんの言っていた、悪くない体格…それも貴方の年齢を考慮すれば説明できます。


そして動機ですが。


先程も申し上げた通り、貴方は若くしてお姉さんを失っていますね。
お姉さんの特徴はこうです。
"低め身長"、"ふわふわした髪"、そして"近所でも評判の女の子"つまり綺麗だった。


そして貴方は亡くなったお姉さんを鬱になるほど慕っていたんですね?


この特徴は、まさしく美恵さんとカブるんです。


貴方は毎日通る美恵さんを居るはずのない貴方のお姉さんとして見てしまった…そうではありませんか?」


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