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はっきりと言い切った菜々に、崩れ去る安西さん。
「魔が差した、魔が差しただけなんです…」
きっと申し訳なく思っていたのだろう、涙まで流し嗚咽を繰り返す。
「大丈夫です、大丈夫ですよ。
ですから、辛いでしょうが謝りにいきましょう?」
菜々は安西さんをそう諭すと、力を込め立ち上がるように言った。
前に進もう、とやさしく微笑みかけた。
「はい…」
力強く頷き、三人は立ち上がった。
・・・
「…と、いうわけなんです」
一部始終私が話し終え、それから安西さんが何度も頭を下げた。
「すみません、悪気はないんです…!
ただ、死んだ姉にそっくりで、生き写しのように感じてしまって。
本当に、本…当にっ…申し訳なく、思っ、ていますっ…!」
最後は泣き泣きになってまで、誤り床に額を擦りつける安西さん。
「だ、大丈夫ですよ。
私も…気味が悪かっただけで実害はなかったですし…頭を上げて下さい」
「っ…でも、私は…結果ストーカーという下劣な犯罪をっ…」
「本当に、平気ですから。
だから、これで全て解決…終わったんです」
「…は、い」
にこり、と微笑んだ美恵さん。
安西さんにはお姉さんに見えているのかもしれない。
けれどもそれでもこの事件は終わったのだ、と私たちはほっと一息ついたのだった。
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