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それから、安西さんは警察に自首したらしい。
後日、知り合いである佐藤警部と婦人警察官の春花警官からの連絡が入った。


それからあの後、私たちはきっちりお給料を頂き勿論生活費に回したわけだが。


・・・


「ちょっと菜々、瑠々!
相変わらずあの電話煩いってお隣さんから苦情きてるよ!」


お給料が入り、またもう少し余裕のある生活が出来ると思った矢先大家さんである東千春―通称春さんからの通告(正確にはお隣さんからの通告)がまたもやあり、いつもの生活へと逆戻りしてしまった。


お隣さんとは安土さんと言って18歳の青年で"絶対零度"なんていうロックバンドを組んでいてギターがジャンジャン煩い方なのだ。


「電話は形見ですし…それに安土さんも十分煩いですよ」
「ま、そうなんだけどね」


20代である東さんはある程度私たちのことも理解してくれる。


が、そこは大家さん。
流されずに、音は小さく!と忠告して帰っていった。


数分後、安土さんのお部屋から大家さんの怒鳴り声が聞こえたのは言うまでもない。


・・・


事件解決から2、3日経ったある日の昼下がり。
あの日のようにティータイムを終えた後だった。


なんと安西さんと美恵さんから感謝の手紙が二通同時に届いたのだった。


二人とも事件解決に感謝していた。
"ありがとう"―そう書かれた言葉が普段より数倍嬉しく感じられた。


その直後のことだ。


あの電話の爆音が響き、菜々も私も慌てた。


「はい、月石探偵事務所ですが」


彼岸花のような少し切ない事件のあと、私達はもっと辛い事件と遭遇する羽目になることを私達はまだ、知る由もなかった。


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