ボス誕!!(放送室後編)



とうとうこの時が来てしまった。

俺はごくりと唾を飲んだ。

XANXUS。
今は放送室の安っぽいパイプ椅子に座る、怒りの王。





こいつは、本当に…、



なんで日本に来たの?


絶対パンツなんかくれそうにないじゃん。
来られてこんなチビりそうになるほど怖い目でみてくんだったら、スクアーロあたりにパンツだけ渡してイタリアでお留守番してくれても良かったのに。

「……」

XANXUSが片腕をあげ、何かを合図すると、ヴァリアーメンバー達は揃って踵を返し、のそのそと扉へと向かう。

え?
今の出てけってことなの?

俺は慌てて付いて行こうとしたが

「ヴォオオイなんでテメェまでついてくんだ沢田ぁ!?ボスさんのパンツどうすんだあ゛ぁ!」
「そっそうでしたぁ!」

そうだ。ごめん!
XANXUS怖すぎてスクアーロ達と一緒に放送室を出ようとしちゃった。


「おい」
「ひいっ…」

置いてかないで置いてかないで!今はノーパンのヴァリアーのみなさん!

…あんな柄の悪い連中を頼みにするくらい、XANXUSの覇気は異様だった。
俺はとりあえず叫ぶように謝る。

「ご…ごめんなさい!」

「…………とっとと剥ぎ取れ、ドカス」
「むあっ!?」

XANXUS…今、何気に凄いこと言わなかった…?
ハギトレ…剥ぎ取れ…って。

「………」

ヨタヨタ近付いて、座っているせいで俺より低い位置にあるXANXUSを見下ろす。

うん…怖いな。
めちゃくちゃおっかないよ!リボーン!

けど。

「す…すわったままじゃ、ぱんつ脱がせられないよXANXUS…、」
「ベルトを外せ」

命令なんてなんのその。
殺されることに比べたら。

俺は跪いて、滝のように汗の玉が次々に背中を流れゆくのを感じつつ、XANXUSのベルトを外しにかかった。
ゴテゴテの飾りが付いて外しにくいよ。
なんて非実用的なお洒落ベルトだ。

その間、冷たい氷の眼差しが俺を見下ろしてる。

あれ、今日なんの日だっけ?
俺の誕生日じゃなかったっけ。

放送室でこんなモノホンのマフィアの暗殺部隊のボスのズボンを下げようとしてる俺って一体…

「ええ、と…失礼します…」

やっと苦行が終わって、俺は遠慮がちにジッパーを下げ、ズボンの前を開けた。

「!?」

その時だった。

まるで脱がすのを促すように、XANXUSが腰を軽く浮かせたのは。

「あ…」

うわ…
俺はあっという間に頬に熱が集まるのを自覚した。

恥ずかしいのと、申し訳ないのと。
それと。


下半身にピッチリと纏ったそれを、勢いを付けて引き下げる。
もう遠慮なんか必要ないと思ったんだ。
ズボンだけじゃなくて、下着ごと。

「……っ!!」

XANXUSの眉がほんの少しだけ動く。
恥じらうような表情はしなかったけど、XANXUSは下着が下げられた瞬間だけ俺から目をそらした。

―――どうしよう。興奮してる。かも。俺、

「うぁ、えーと…ざ、XANXUSのぱんつ…凄いのですね」

変な敬語になっちゃったよ。


下着は普通のビキニパンツ。
でもリアルなライオンの絵柄が凄い。
今にも襲いかかってきて俺の喉笛を食いちぎりそうだ。

片足ずつ、ズボンの裾を引き抜いて、ようやく手にしたXANXUSのパンツは、まだホカホカにあたたかい。

こんな血も涙もないような彼の体温が、くっきり残っている。

「おい」
「っはい!?」
「寒い」
「ごめんなさいっ」

慌てて俺はズボンを穿かせにかかる。
パンツを奪われた下半身に直接ズボンを穿かせ直すのがなかなか新鮮だ。

何とも気まずい沈黙。

XANXUSは堂々と腕を組んでさっきと同様に俺を見下ろしていた。

ううう…

剥き出しのアソコを最後、何物も挟まないようにジッパーを上げるのに俺は苦労した。
指で上手いこと中身を押さえて、何とか元通りに納める。

心を無にしてなかったら、さすがに変な気分になっちゃうところだった。

「………沢田綱吉」
「!!」
「俺に恥を掻かせたこの日を一生忘れるじゃねえぞ……」


ヒイイイイイイィ〜〜!!!!


カチンコチンに凍り付いた俺の前で、XANXUSはゆらりと立ち上がった。

だが、身構える(というか頭を必死で守っていた)俺の脇をXANXUSは歩き過ぎてゆく。

「?」



「Buon Compleanno…ドカス」


「あ…」

聞いたことある言葉。
イタリア語で、『誕生日おめでとう』
のはずだ。


やたら長い足。
野獣のような目。

恐ろしいXANXUSはやはり恐ろしいくらいに格好良かった。

何だかんだでヴァリアーのみんなが従う理由が分かった気がする。

「あ…ありがとう…うれしい、よ」

XANXUSの前で自然に笑える日があった、そんな日があったことを、俺はずっと覚えておこうと思った。
XANXUSがそう望んだように。


彼ら全員が、放送室から立ち去って数分。
俺は更に増えたパンツを達成感いっぱいで見つめた。

もうだいぶ集め終わったんじゃないか?

これを額に入れて飾ったら圧巻だろうけど、もう二度と友達を家に呼べない部屋になるんじゃないかな。
一体リボーンはどうするつもりなんだろう。


ああ、なんか下半身的に落ち着かないや!
これがみんなのあそこをさっきまで守って居た脱ぎたてのパンツだなんて!


いろいろ思いを馳せていた俺は油断していた。

スクアーロは大声で校内放送を行っていたんだ。
並中に関して耳敏いあのひとが、それを聞き逃したりしないことを、もっと早く気が付くべきだった。

放送室の扉が音もなく開き、

「やぁ…おかしいな。中に居るのは、君だけかい?」

「!?!?」


低く澄んだ声が俺の耳に届いた。

「ひ、ひばりさん…!」


妙に涼しげなやさしい微笑みでこちらを見つめる並中最強の不良にして風紀委員長。

そして俺は、まだ床に座ったまま、今まで獲得したパンツにまみれていた………………





→続く


今までの獲得済みパンツ
【笹川了平の黒のボクサーパンツ】
【草壁哲矢のフンドシ】
【ロマーリオのダンディーなトランクス】
【ビアンキのセクシーパンティ】
【獄寺の赤いTバック】
【山本の野球ボール柄の可愛いトランクス】
【京子の純白乙女パンティ】
【ハルの水玉乙女パンティ】
【六道骸(クローム)のフリフリパンティ】
【スクアーロのオシャレボクサーパンツ】
【マーモンのミニパンツ】
【ベルフェゴールのゴージャスパンツ】
【ルッスーリアの孔雀パンツ】
【レヴィの普通のブリーフ】
【XANXUSのライオンビキニパンツ】



2012.10.24






[ 2/28 ]

[*prev] [next#]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -