03
手持ちの刀がなくなった政宗は諦めて胡座をかいて天井を見上げた。
「おい猿、お前なんでここに来たんだよ」
「大将からの書状を届けにね」
佐助は天井裏から政宗の元に降りて懐から取り出した紙を渡した。
あくまでも戦力がどれくらいかという任務なので夜幸はそれには手をださない。
「…ああ、戻ったか」
夜幸の分身が戻り、分身の術をといて屋敷を出るために夜幸が移動を始めると佐助が天井裏に上がってきた。
「用事済んでたのにあんなとこにいたの?」
「今終わったんだよ、それがなかったらあんなとこにいない」
はぁ、とため息をついて首を横に振る夜幸に、可哀相だ…と佐助は哀れみの目で夜幸を見る。
それぞれ奥州から南下する二人は共に目的地へ向かった。
「ねぇ、あんたって砕魔でしょ?」
「そうだけど、それがどうかしたか?」
「俺達の世界だとかなり有名だからさー」
「へぇ、そりゃどうも。アンタも十分有名だけどな、えーと猿飛佐助だっけ?」
「そうそう」
木から木へと飛び移るように移動しながらこんな会話ができるのは二人が相当の手練れだからだ。
それに…と付け足した佐助の方を夜幸は目だけを動かして見る。
「忍なのに女好きであっちこっち遊び回ったりしてるって聞くし」
「うっ…それはな、その、遊ぶときは遊ぶ!任務は任務でけじめをつけている俺だからいいんだ!」
「忍は遊ばないって」
「…………」
言い返せずに黙り込んだ夜幸は仕返しに佐助へクナイを投げつけた。
「危ないことしないでよ!」
「お前が悪いんだ!」
「遊んでる砕魔が悪いんでしょ!」
投げつけられたクナイをかわして理不尽な夜幸の理由に佐助はため息をついた。
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