02



「……今は他の奴に雇われてるんでな。俺が雇われてない時にでも交渉にこい」



絶対に雇われてやらねぇから、と笑いながら心の中で付け足す。

政宗はどこからか刀を取り出して夜幸のいる場所を確実に狙って天井を突き刺した。



「ha!早く降りてきな!」

「嫌に決まってんだろ」



天井に突き刺された刀をかわしながら夜幸は政宗を睨みつけた。

夜幸は腐っても忍である。一応ここで政宗の言う通りに動いたりはしないのだ。

しかし、こんなやり取りのなかでも屋敷の微かな異変に気づくことが出来るのだから流石忍、というものだ。



「…(…敵、だよなぁ)」



夜幸は屋敷の中に入ってきた気配に、悟られないように身構える。
ちなみに入ってきたのは忍。ここで気配に気づかれていたら忍失格だ。



「うわ、何この状態」



あくまでも小さな声で天井裏に突き立つ刀たちに眉をよせるのは、猿飛佐助。
真田十勇士の長だ。



「お前さ、ちゃんと気配消せないのかよ」

「なんのこと?…ってアンタって、さiッ」



夜幸に口を押さえられて口を動かすが声を出せない佐助は放せとクナイを取り出す。

仕方なく放した夜幸は佐助の声が聞こえたのかこちらを睨む政宗にため息をついた。



「おい、お前のせいで睨まれてんぞ」

「俺様のせい!?」

「そう、お前のせい」



夜幸はクナイを政宗の顔すれすれを狙って投げる。



「てめぇ猿!!!ぶっ殺すぞ!」

「俺様じゃないって!」

「おいおい伊達さん一応顔整ってんだから顔はやめてやれよ」



夜幸がにやにや笑ってることも佐助にしか見えていない事実。
政宗は佐助がやったと勘違いしてまた刀を投げつけた。










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