01
義重からの最後の任務。
比較的義重のような武将が好きな夜幸はなるべく多くの情報を持ち帰ろうと一人、走りながら頷いた。
「(…そろそろだな)」
忍の足は、速い。
特に夜幸の場合は足を徹底的に強化していて今のところ対等な速さの者はいないかもしれないほど。
なぜそこまで素早さにこだわったかというと、どんなに防具が紙のようでも素早く動き攻撃をかわせば傷は負わない。その上攻撃だってしやすくなる。
速さで相手を翻弄できるからだ。
「さあ、行くか」
情報を頂きに。
皆が寝静まった屋敷の中へ、一歩踏み込んだ。
どこの屋敷も変わらない天井裏の埃具合。
忍がしょっちゅう通っていれば綺麗になりそうなのにな、と考えながら夜幸は真下の部屋を覗く。
「……」
部屋の中には巻物に囲まれた伊達政宗がいた。
「(あわよくば巻物をいくつかちょーだいしようと思ったんだけどな)」
これじゃあ無理だ、と移動をしようと足を動かそうとした時、
「ッ!!」
顔のすぐ横に伸びる銀色の刃。
夜幸はもう一度部屋を覗くと政宗が不敵な笑みで天井を見ていた。
「(やばいな…任務だけは確実にこなさねぇと…)」
とは言っても、この政宗の行動によって他の忍にばれたらその方が厄介である。
「(…分身を作るか)」
印を結び、分身を作り出す。作り出した分身は情報を集めるために移動を始めた。
夜幸は政宗をじっと見る。
政宗も夜幸を品定めするかのように見る。
「お前、どこの忍だ?」
「んなこと聞かれて答える忍がどこにいんだ」
「HA!あんたみてぇなのは答えそうだがなぁ」
「舐めてんのか?」
天井裏から政宗に睨みをきかせる夜幸に肩を竦めて冗談だ、と返した。
夜幸はいつ攻撃されてもいいように身構える。
年下に殺されるのは嫌なのだ。
「ah〜…お前、伊達の忍にならねぇか?」
「…は?」
まさかそんなことを言われると思っていなかった夜幸は気の抜けた声を上げた。
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