01.起こせないのは




街の殆どが寝静まったであろうダングレスト。

その宿屋の扉が静かに音をたてたので部屋を出てみれば、その人気のないロビーには見慣れた姿があった。


『あれ?今まで外出てたんだ?』

「ただいま」

『あ、うん、おかえり…ってフレン酒臭っ!』


最低限の電気しか付いていなかった為に気付けなかったけれど、フレンの顔をよく見てみると顔が真っ赤だ。

加えてこの酒臭さ。


『酒場に居たの?』

「ああ、レイヴンさんとちょっと」

『レイヴンと!?』


珍しいこともあったものだ。
フレンとレイヴン二人でだなんて。

そのレイヴンは何処にいるのかと問うと、まだ飲み足りないらしくひとり酒場に残ったそうだ。


「今日のお酒の席はとても勉強になったよ」

『お酒で勉強?…良かったね?』


…よくわかんないけど。

どうせ酔っ払って自分でも言ってることがわからなくなっているのだろう。

酔っ払いなんて皆そんなものだ。それを聞きつつ軽く流してやるのも素面の役目。

とりあえず私はフレンに水を差し出した。


『はい、水』

「ありがとう」

『このまますぐに寝ちゃったらきっと二日酔いになるよ』

「名無しは気が効くね」

『それはどうも』

「良い奥さんになれるよ」

『はいはいありがとう』


適当に返事をしながら自分も水を取りに行こうと立ち上がる。


「名無し」
『はいはい』




「名無し、好きだよ」

『はいはい私も好…って、は!?』




背後に気配を感じて振り返った瞬間、フレンに抱き締められた。



何が起きたのかわからなくて私の思考は一度制止する。

…が、思考が再度動き出した時には、耳元からはフレンの規則正しい寝息が聞こえた。



『二日酔いになるって言ったばかりだよバカフレン…』



自分にもたれかかるフレンを
少しだけ抱きしめ返した。





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フレンが勉強になったって言ってたのはサブイベントのお話。
フレンと飲みたい。

20120301.haruka

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