おはよう、おやすみ









ふと目を覚ますと目の前にはユーリの寝顔があって、

私はベッドから転げ落ちそうになった。


















そういえばベッドの数が足りないとかでユーリと同じベッドで寝ることになったんだっけ。





ただの旅仲間という関係であればさすがに男女が同じベッドで寝るわけにもいかないので誰かが床、もしくは別料金を支払ってもうひと部屋押さえていたところだろう。





何故こういう形でおさまったかというと、単純に私とユーリが恋仲であったからだ。






けれど、恋仲である以前に私達は旅仲間で、俗に言う恋人らしいことというのは滅多にしていない。








だからこんなにユーリが近いのも久しぶりだったりする。



私は寝息を立てるユーリをまじまじと見た。









寝顔が可愛いとか、意外と睫毛が長いとか…何よりすごく無防備。









『あ、ユーリの匂いがするー…』







モゾモゾと動いてユーリの胸元に頬をくつけて手を回した。







『……………』








ユーリって意外と胸板あついんだよね。
筋肉もしっかり付いてるし。


…っていうか余計な肉がどこにも無いのが羨ましいったらない。
あんなに甘いもの大好きなのに!何故!







…なんてことを考えていると、頭のてっぺんに息がフッと吹きかかるのがわかった。








『! 起きてたの?』





ハッと見上げれば、笑いを我慢しているユーリがいた。


あの頭にかかった息は多分、ユーリが笑ったからなのだろう。









『起きてたなら教えてくれたればいいのに』








「誰かさんが珍しく甘えてきてたモンでついな」






『う、』






バツの悪くなった私はユーリの胸に顔を埋めると、ユーリは小さく笑って私の頭を撫でた。








「普段からこんだけ甘えりゃ良いのに」




『皆が居るから無理』










「そーかい、そりゃ残念だ」






『そんなに残念そうには見えないけどね』








そう言ってユーリを睨もうと見上げたのだけれど睨むことが出来なかった。



なんだか寝起きのユーリがとても色っぽく感じるのは気のせいだろうか。









いや、気のせいなんかじゃない。





さらには少しだけ掠れたその声にもいちいちドキドキしている自分がいた。





重症かもしれない。







「今何時?」

『多分4時前だよ』






「…早いな」





『だってたまたま目が覚めたんだもん。…っていうか起こしちゃったよね、ごめん』








「いや、それは良いんだけどな。けどまぁ、あと2時間は寝れるか」










『そうだね。
…ってねぇ、ちょっと、この手は何ですか』









「オレの手」









『いや、うん、それはわかってる!どうしてその手が私の腰に回されてるの』





くっついて行ったのは私の方からだけど、ユーリの手が私の腰にしっかりと回されていて離れることが出来ない。






「別にいいだろ。皆寝てるし。ってかそもそも布団で見えてねぇだろ」
『いや、それもそうなんだけどさ!』









「それ以前にオレ達は旅仲間だってか?そりゃわかっちゃいるが、オレだってこれでも我慢してるんだぜ?」






『ええっ!?』






同時に頬に手が添えられて、私はその視線から逃れることは出来なかった。







「けど、目の前に好きな奴が居りゃ抱き締めたくなって当然だろ」







そう言って笑うから、私の心臓はまた跳ね上がった。







『ユ、ユーリがこんなに近くに居るから、…!』






「ん?」









抱き締められると嫌でも密着する。
…嫌じゃないんだけど、心臓が持たないよ。







『ユーリにこうして貰うのはすごく嬉しいし幸せだけど、心臓の音がうるさくて…っ』






するとユーリが自分の胸に押しあてるかの様に強く抱き締めてきたので、私は゛ひあっ゛なんて裏返った声を出してしまった。







ユーリの表情が見えなくなって、何事かと顔をあげようとするも、それをさせまいとユーリは自分の手を私の頭に添えた。











「頼むから今はこのままでいてくれ」










トクン、 トクン
 トクン、と










いつもより早く感じるユーリの心音か聞こえた。










『いっいいけど……なんで急に』






その問いかけにユーリはあー、とか、んー、とか言葉にならないものを発している。









「柄にもなく照れちまったんだよ、オレも」








ふいに抱き締める力が弱まったので顔を上げてみると








「おまえ反則」
と顔をほんのり赤に染めたユーリが言った。










私としてはそんなユーリが反則だよ。









「人の事言えたもんじゃないが、今後のためにも慣れねぇと困るな」






『困る?』










「あーわかんねぇならいいさ。…よし、寝直すか」


『あ、うん』











布団を整えて、ユーリの置いた左腕に頭を預けるとユーリはその左手で私の髪に触れた。





それがなんだかとてもくすぐったくて笑ってしまうと、ユーリも一緒に笑った。











「おやすみ、名無し」


『ん、おやすみ』












額に小さな優しいキスが落とされた後、私はそっと目を瞑った。
















きっと次に目を開けた時には朝陽は登っていて、

隣には愛しい君と、















その温もりがあるのだろうね。


















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(書いてるこっちが恥ずかしくて)ドキドキで壊れry\(//^/o/^//)/Hey!!

20121019.haruka

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