01.色々ダメです

! ひたすらエステル視点




皆様、こんばんは。

エステルことエステリーゼ・シデス・ヒュラッセインです。



突然ですが、わたしは今とても困り果てている状況にあります。

今晩の宿は1部屋を抑えることが出来たものの、ベッドの数が足りていません。

ソファを利用したとしても、誰かひとりが必然的に床で寝る事にならなければいけなくなってしまいました。



こういう時は、いつもユーリが気をつかって下さり、自分が床で寝ると言い出してしまうのですが、今回は名無しが口を開いたのです。




『じゃあ私がユーリと一緒に寝るよ。それでいい?』




名無しの思いがけない発言にわたしはたじろいだのですが、隣に居たカロルはなるほど!っとそれが名案かのように頷きました。




「まー良いんじゃない?あたしがベッドで寝れりゃそれで構わないわ」

「おっさんも天才魔導少女と同意見!床だと身体痛くなるんだよねぇ。
でも名無しちゃん、おっさんのベッドに来てもいいよ?」

『レイヴンはいびき煩いから嫌!』

「ひどいっ!」

「ははっ残念だったな、おっさん」

「その優越感たっぷりの青年が腹立つ!」

「そいつはどーも」

「誉めてないっつの!」



「名無しとユーリって本当に仲良いよね…ボク、ナンにそんなこと言ったら多分殺される…うん…絶対」



違いますカロル!
仲が良いというだけで済ませてはいけません!



どんなに仲が良くても…その…男性と女性…です……。



そんなふたりが同じベッドだなんてい、いいいいいけません!!!



というか、どうして誰も指摘しないんです!?



「あら、お姫様は変なことをお考えなのかしら?」



言葉を発さず悶々と考えているとジュディスが周りには聞こえない様に小声で思いがけない発言をしました。



「ジュディス…!へっ!?変な事です!?いえ、わたしは、その…」



自分でもわかるくらい顔を真っ赤にして大きく首を振りました。

顔が熱い、です。

「あの二人にそんな事を考えても無駄よ?」

「無駄、です?」

「だって肝心の二人に自覚がないんだもの」

「自覚?」

「そう、自覚」

「いつか自覚する時が来るんです?」

「さあね。ただ幼馴染みという関係が邪魔なのよ、きっと」

「幼馴染みって大変なんですね…」

「あら。私は見ていて楽しいわ」



わたしは幼馴染みとなんて恋はしたくないけれど、とジュディスは不適な笑みを浮かべました。



「灯り消すわよ〜」



一番灯りに近いベッドに居るレイヴンの掛け声で皆は各々のベッドに入ります。



「名無し、早くこっち来い」

『はーい』



名無しをベッドに招くユーリや、ベッドに入った後に良い位置が見つからないと言う名無し。

二人の会話を聞いていると恋人同士としか思えません。

なんだか聞いてるこっちが恥ずかしくなって、



『じゃ、「おやすみー」』



わたしは思わず頭まで布団を被りました。


わたしには幼馴染みなんて居ませんし、ましてや゛恋゛というその感情もこれまでに芽生えた事があるのかもよくわかりません。




ですが、幼馴染みは色々大変であるということがよく解りました。








あぁ、
それから、
フレンが居なくてよかったのだと思いました。







(!!!)
(おはよーエステル)
(カッカロル!ダメです!カロルにはまだ早いです!布団に帰って下さい!)
(布団に帰る!?!?)


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くっついて寝てただけなんだけどね!
ウブなエステル萌え。

20120607.haruka

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