金環日食!

!現代金環日食ネタ





「朝っぱらから何を騒いでるんだよ、おまえは」






オレが目を覚ましてから、名無しはずっとテレビに張り付きっぱなしで

ニュースを見ている割には、わー!だの、すごーい!だのソレに似合わない発言が連発されるので聞かずにはいられない。




そして、こっちを向いたかと思うと、名無しはものすごく驚いた様子でオレを見た。






『え…ユーリ………知らないの?』


「知らないって何がだよ」





言ってくれなきゃ知っているものも知らねぇよ。




『今日は金環日食なんだよ?』




太陽と月が重なるけれど、太陽の方が月より大きいから太陽がリング状に見える瞬間があるだのなんだのと名無しの説明が続く。




そういえば最近世間ではそんな話で沸いていた気がしなくもない。




別に興味も無いので聞き流していたが、その金環日食っていうのが今日だということか。


「けどコレ、リング状になってねぇじゃん」





同じ映像を見つつ、オレも名無しの隣に腰を掛けた。






『いや、だってまだ日食が始まったばかりだもん。これからだよ』


「ふーん。そもそもおまえ、こういうのに興味あったか?」


『んー本当だったら沸かないかも知れないけど、今回みたいな金環日食が見れるのは932年振りで、次に見れるのは300年後なんだってさ。それを聞いたら興味も沸くよね』





「そんなもんか」


『うん。あとね、この日にリングをプレゼントする夫婦やカップルが居るんだってさ。素敵だと思わない?』








「………先に言っておくが指輪なんて用意してねぇからな」




そう言うと、名無しはキョトンとした後に溜め息混じりに笑う。




『いや、わかってるよ!
逆にユーリがそんな事をしたら金環日食どころじゃないわ』


「……そーかい」





オレをよく理解してくれている様で大変嬉しいんだが、



なんだ この罪悪感ならぬ敗北感は






そうこうしているうちに映像では完全に太陽と月が被って、太陽に月がスッポリ収まった状態になった。



あぁ、これがリング状の゛金環日食゛ってヤツなのか。





隣に居る名無しを見ると感動しているのか、何も言わずにキラキラした笑顔でテレビ画面を見つめていた。





それはまるで。






「名無し」







『何?今すごく良とこ―――――………』








―――――チュッ







わざとらしく音を立てて唇を奪ってやると、




先程まではテレビに夢中だったってのに、名無しはオレの方を見たまま放心状態で








「リングはねぇけど、こんなのもアリだろ?」











かと思いきや、一気に顔を真っ赤にさせるもんだから、








思わずオレは笑った。














(おまえが太陽ならオレは月だな)
(よくそんな恥ずかしいことを…!)


------------------
折角なので。
私の地域は例の帯から綺麗に外れていたのでユーリ達にも同じ過ごし方をしてもらいました(^q^)

20120521.haruka

[back]
[ 24/86 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -