そしてまた恋をする





季節は夏。

私より何歩も先を歩くユーリやエステル達を見て、今日は暑いなーなんて思う。




『カロル、暑いんだけど…』

「…なんでボクを睨むの!?この暑さはボクのせいじゃないからね!?」



私の目が据わっていたのか必死に自分のせいではないと言い張るカロル。

…わかってるよ、さすがに。



「名無しちゃ〜ん」

『何よー』

「そういう時は青年に頼っておぶって貰えばいいんじゃない?」




私の隣を歩くレイヴンは閃いたかのように言う。




『…そんなのして貰ったら余計暑くなる!』

「なんでよ〜」

『教えない』

「春だわね」




『…ああああレイヴンと話てたら余計暑くなってきた!』




はたから見れば下らない話をしている私とレイヴン、カロル。

気付けば、先を行くユーリ達との距離がさらに広がっていた。

まぁ、どうせ向かう場所はわかっているわけだし、走って距離を縮める必要もそうするつもりもない。




『…私が倒れたらカロルがおぶってよね』

「え、無理だよ」

『即答!?』




なんて正直な少年…


何も言い返しはせずに正直な少年のほほをつねっていると、前を歩くユーリが急に振り返った。




『…ん?』


前に向き直すかと思いきや、そのままこちらへと向かい、その足は私の目の前で止まる。




「具合悪いのか?」

『え、あ、ううん。
強いて言うなら暑いってだけ』




まさか自分に来るとは思っていなかったので驚いた。




「そっか。無理は禁止な。何かあったらすぐに言うこと。いいな?」

『…なんかフレンみたい』

「…返事は?」

『はいい!ありがとうございます!痛い手離して!』

「よし」




鷲掴みしていた私の頭を、今度は優しく一撫でし、エステル達の所へと戻って行くユーリ。





『………』

「…名無し!?」




急に黙った私を覗き込むなりカロルはかなりの驚いた声で私の名を呼ぶ。




「だだだ大丈夫!?ユーリ呼ぶ!?」

『やめて本当やめて大丈夫だから!!』




私の顔が相当真っ赤だからだろう。
カロルが本当に心配をしてくれた。




『…私、思ってた以上に重症かも』





予想以上にユーリが好きみたい。






「名無し意味わかんないよ!」

『わかんなくていいです』

「ひゅー名無しちゃん乙女ー!」

「レイヴンは黙ってて!今のあたしはカロルしか対応する余裕がないの!」

「へいへーい」

「何!?!どういうこと?」







体温急上昇、
今日は、馬鹿みたいに暑い。




ほら、






(まだ伝えられないけれど)

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カロル先生やレイヴンと絡むのが好き!

20120229.haruka

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