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(DQ4|ピサロ→クリフト←ソロ)
(これの続き)

目下の問題は『どちらが先にクリフトと寝るか』だった。呪文の撃ち合いを始めようとした二人にじゃんけんという至極平和な解決策を提案し、初日はピサロ、次にソロと寝ることになった。魔王と勇者のじゃんけんは端から見れば相当にシュールなのだが、当事者は至って真剣だった。

そして今、頭上で険悪なムードが漂う中、クリフトは寝たフリを続けるべきか否か真剣に考えていた。

「……何故貴様がここにいる」
「一晩中てめえのベッドに寝かせとく訳にいかねえだろ、クリフトが食われる」
「貴様のような年中発情期と一緒に寝かせるより余程マシだと思うが?」
「誰が年中発情期だコラてめえと一緒にすんな」
昼間と同じように地を這うような声で唱え始めた呪文はライデインとイオラ。昼間より出力というか威力は落ちたがどうせ気を使うなら端から武力行使に出ないでほしい。二人と違ってクリフトは単なる人間だ。
威力が落ちた分詠唱時間は短い。間に合わなかったら宿屋が文字通り消し炭だ。寝たフリなどしている場合ではない。考えるより早く、クリフトは二人の口を手で塞いでいた。食うだの発情期だの聞こえたがもうこの際無視だ。

いきなり温かい手のひらに口を塞がれて二人は驚いたようだったが、それがクリフトだと分かると放たれる寸前だった呪文を引っ込めた。

「こんな夜中に、お二人とも何をなさってるんですか、」
咎めるような口調で言うと、二人はばつの悪そうな顔をする。

「それは、その…悪い、」
「……すまない、」
声を落として謝罪する二人に「危ないですから、やめてくださいね」と注意をしつつ、クリフトはソロを見やった。

「ソロさんは、何故ここに?」
「…いや、クリフトが心配で、」
言いながら布団に潜り込んでくるソロは出る気はさらさらないらしい。クリフトは明らかに機嫌が急降下しているピサロに慌てて向き直った。

「ピサロさん、その、狭くなっちゃいますけど、いいですか…?」
「…………構わん、」
ピサロを見上げながら訊ねると、暫くして返ってきたのは肯定の返事だった。「ありがとうございます」と笑顔を浮かべると「狭くなるから、もう少し寄れ」と引き寄せられる。ソロが何か言う前に手を握って黙らせて、クリフトは空いた手ではだけた布団をかけ直した。

ズキズキと痛むこめかみを抑えながら、深く溜息を吐いた。本当に、疲れる。

(111011)

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