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(DQ4|ピサロ→クリフト←ソロ)

――どうしてこうなった。

左隣にソロ、右隣にピサロ。勇者と魔王のサンドイッチなんてそうそう体験できるものではない。前門の虎、後門の狼なんていう諺が生っちょろく思えてくる。今の状況に比べれば虎も狼も可愛いものだ。
自分を挟んで睨み合う二人に、クリフトは気が気でなかった。さっきから背中に冷たい汗がだらだらと流れている。部屋にはベッドが二つ、人数は三人。「じゃあベッドをくっつけて川の字で寝ませんか?」なんて、とてもじゃないが切り出せる雰囲気ではない。こんなことになるなら無理を言ってでも後一部屋取っておくんだった、と後悔しても遅かった。

「クリフトはなぁ、俺のベッドで寝るんだよ。」
「阿呆か貴様は。貴様のような寝相の悪い奴と同じベッドで寝ては風邪を引くに決まっている。」
「うるせえ魔王崩れは黙ってろ。お前みたいな奴と同じベッドにクリフトを寝かせられるか、襲う気だろ。」
「その魔王崩れに挑んで全滅した過去があるのは何処の何奴だ?」
「何だとやんのかコラ」
「フン、望むところだ」

殺気を隠そうともせずに地を這うような声で呪文を詠唱し始めた二人に慌ててマホトーンをかける。会話の途中で襲うとか何とか聞こえた気がしたが構っている場合ではない。
ギガデインにザラキーマ。高等魔法は詠唱が長い。おかげで何とか先に呪文を封じることができた。それにしても呪文のチョイスが危険すぎる。宿屋を消し炭にでもするつもりだろうか。自分を挟んでそんな物騒なことをしないで欲しい。何で止めたんだ、とでも言いたげな二人に向かってクリフトは口を開いた。

「この町には2日滞在しますから、交代で入れてください。……ね?」
自分より僅かに高い位置にある二つの顔を上目で見ながら首を傾げると、漂っていた殺気が霧散する。どうやら収まったらしい。反対方向に顔を背けた二人の顔は心なしか赤い。

「クリフトがそう言うなら…俺は、いいけど。」
「同感だ。」

どうやらこの二人限定で上目遣いが説得に有効らしいとクリフトが気づいたのは、最近のことだ。後、泣き落としも効く。
げんなりしながら、クリフトは小さく息を吐いた。ああ、疲れる。

(111009)

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