ネタ帳 | ナノ


DQ4‖アリクリ

「あれ、なんかクリフト甘い匂いする」
スンスン、と鼻を動かしてアリーナが首を傾げる。マーニャにつけられたリップクリームの人工的な香料は、思いの外強く香るようだった。

「リップクリームを塗ったので、そのせいかもしれませんね」
正確には、塗られたというか付けられたのだが、まあいいだろう。ポケットを探り、苺のイラストが描かれたパッケージを見せる。菓子の類いでないと分かったからか、アリーナは興味を失ったように「ふうん」と言っただけだった。ドアノブに手を掛けたまま何か閃いたように「あ、」と声を漏らす。くるりと振り返った表情は明るかった。

「ねえ、ちょっとここ座って」
服の袖を引かれて言われるがままにベッドに腰を下ろすと、アリーナはクリフトの両肩に手を置いた。膝に飛び乗られ受け身も取れないまま後ろに倒れこむ。馬乗りになった状態でずい、と顔を寄せて、アリーナは口を開いた。
小さな白い歯と、ピンク色の舌が眼前に迫る。思わず仰け反ったクリフトに構うことなく、アリーナはクリフトの上唇にかぷりと歯を立てた。切れている下唇を避けたのはクリフトのことを思ってなのか、ただ単に血の味が嫌なのかは分からない。数回甘噛みをしてから少し眉を寄せると、ぺろりと唇を舐めて膝から下りる。呆気に取られているクリフトを余所に、アリーナは不服そうに自分の唇を舐めた。

「なあんだ、味はしないのね」
こんなに美味しそうな匂いなのに、と口を尖らせるアリーナの言葉は、クリフトにほとんど届いていなかった。舐められた唇はヒリヒリと痛んでいる。

もう一回、塗らなくては。

(120224)


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