case:K.Shiraishi 3
『PM7:00にうちに来て。2人だけでバレンタインパーティーしよう?』
ひながくれた紙袋についてた小さなタグに書かれていたこと。
『ひな先輩が部長を困らせんように考えた結果や』
さっきの財前の台詞が脳内でエンドレスリピートしとる。
ひなが気遣うてくれたことすら気づかずに、俺はめっちゃ酷いことを言ってしもうた。
ひなが泣き出すんも当然や。
指定された時間より1時間以上も早いし制服のままやけど、今はそんなことよりも何よりも、早うひなに逢いたくてしかたなくて、全力疾走する。
早く逢って謝りたい。ちょっとやそっとでは許してもらえんかもしれんけど。
それでも。
誰よりも好きで仕方なくて、誰よりも俺を想うてくれてる子やから。
こんなふうに終わらせたくない。
その一心で俺はひなんちを目指して走り続けた。
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