case:H.Zaizen 2



鈍い鈍い、と前から思うとったけど部長の鈍さは予想以上やったわ。

「……部長、ホンマに気づいてへんの?」
ひな先輩が怒って飛び出した後を呆然と眺める部長に助け舟を出してやる。
ぶっちゃけ、ひな先輩と部長が別れてくれたら俺的には棚ぼたやけど、それやとあんまりにもひな先輩が可哀想やから。
「は?」
いくら相手がなんのこっちゃっちゅう間抜け面晒しとるこのにぶにぶ部長でも。
「これ」
俺の隣に置いてあった部長宛のチョコがぎょーさん詰まった紙袋。
その手提げ部分にくっついとったネームタグを外して放り投げる。
それを両手で受け止めた部長は、自分の名前が書かれたそれの半分に折りたたまれた中を見て、思いっきし目を瞠った。
「っ、これ……」
「部長は毎年チョコ貰いすぎてて困っとるみたいですよ、ってひな先輩に教えたんですわ、先週末。んでそれと紙袋がひな先輩が部長を困らせんようにって考えた答えや」
俺が言い終わるが早いか、部長はひな先輩があけっぱにしてった扉から、脱兎のごとく飛び出した。


「ホンマ世話の焼ける先輩らやわ」



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