2人でクリスマス!



「……ひな」
みんなが帰ったあと、片付けを手伝うと言って残ってくれた蔵ノ介に名前を呼ばれ、そちらに向き直ると。
「目、瞑って」
優しく囁かれるから、私は素直にそれに応じた。
蔵ノ介の腕の熱が首筋に触れ、一瞬身体がぴくりと跳ねる。

「もうええよ」
彼の合図に目を開ければ、私の首には先ほどまでなかったピンクベージュのネックレス。
方位磁石のようなモチーフで、今日蔵ノ介が身につけているものと色違いだった。
「メリークリスマス」
目を瞬かせる私に、蔵ノ介は極上の笑みを向ける。
「これ、中に入っとる磁石が惹かれあうんやって」
ほら、と私のネックレスに自分のそれを近づける。
すると、コンパスの針の代わりなんだろう、小さな磁石がリングの端でそっとくっついた。
「……指輪はまだあげられへんから、今はこれで我慢してな?」
我慢だなんてとんでもない。
残念そうに眉を下げる蔵ノ介に、私はぶんぶんと勢いよく首を左右に振った。
「すごく、嬉しい……。ありがとう」
彼に笑顔を向ければ、すぐに抱きしめられて耳元で「かわええ」なんて囁かれる。

何度言われても聞きなれない台詞。
だけど恥ずかしいと同時に嬉しくもあって、その熱で体中が火照る。
「あ、あのねっ、私も渡したいものがあるの!」
思考回路が彼で埋め尽くされる前に何とかその腕から抜け出して、リビングの扉の前に隠しておいたみんなとは違うプレゼントを渡す。

「……開けてええ?」
「どうぞ」
がさがさと蔵ノ介が包装を解いていく。
中身は、さっき蔵ノ介に渡したミサンガと同じで若草色をベースに、グリーンのノルディック柄が編みこまれたマフラー。
「これも、ひなの手作り?」
「そだよ」
「……どや、似合うとる?」
いそいそとそれを首に巻いて嬉しそうな顔をする蔵ノ介。
「うんっ!」
「フツーのマフラーよりあったかい気ぃする」

大切にするわ。

その言葉が嬉しくて、私も笑った。




-9-

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