みんなでクリスマス!2



「あー食った食った」
「もう食えんちゃね」
「ごちそうさんでした」

お鍋はリゾットにして全て完食(驚くことにその殆どが蔵ノ介の胃に収められたと思う)。
クリスマスだからという理由で買ってきた長いブッシュドノエルも全員で平らげてしまった。
健二郎君や千里君が言うように、ほんともうお腹いっぱい。
「ごちそうさまでした」
銀さんを見習って挨拶をすれば、隣で蔵ノ介も同じように「ごちそーさん」と言っていた。

「ケーキも食べたし、そろそろ解散かしら?」
小春ちゃんの視線を追って時計を見れば、もうすぐ9時になろうとしていた。
「えぇ〜、いっつもみんなで朝まで騒ぐやんかぁ!」
不平を漏らしたのは今夜おうちに独りきりになってしまう金ちゃん。
「金太郎さん、いつもは男の子だけやからよかったけど、ひなちゃんおるからそういうわけにはいかへんのよ」
「なんで、ひながおったらあかんのん?」
「そりゃ……ひなちゃんは女の子やさかいなぁ」
「ひなが男の子やったらええん?」
こてん、と首を傾げて金ちゃん。まん丸でおおきな瞳が私のほうを向く。
まさかとは思うけど。
「やったらひな、男の子になって?」
……やっぱりか!
中学3年生とは思えない台詞に頭が痛くなる。
「阿呆」
「っで!なにすんねん、財前!」
そんな金ちゃんに容赦なく手刀を食らわせたのは光君。
「ひな先輩がどうのこうの以前に、ここで俺らがいつまでも騒いどったら下の階に住んどる人らの迷惑になるやろが」
「そうやな、ひなちゃんちはマンションやから。ワテらがいつまでも騒いどったら、下からこっわいおっちゃんが蔵リンの毒手よりもおっかない武器引っさげて怒りに来るかもしれへんで?」
「!」
小春ちゃんの、私のマンションにはジェイソンでも住んでるのかと突っ込みたくなるような脅しで、金ちゃんの顔が一気に青ざめる。
「そ、それは嫌や……!」
がたがたという音が聞こえそうなほど体を震わせる金ちゃん。
本当にちょっと心配になるくらいこの子は単純だ。
「ほな、今日は大人しくここらへんで帰りまひょか?」
「うー……。でも、独りになるんも嫌や……」
駄々をこねだした金ちゃんの隣で、光君がひとつ息を吐いた。
「しゃーないな。今日は俺がお前んち泊まったるわ。丁度新しいゲーム買うたとこやし、それも持ってくで」
「ほんま?ワイ独りやない?」
「ほんまやほんま」
「あ、じゃあ俺もそれ混ざるわ。財前ゲームやらしてや」
「俺も行くばい」
光君に同調して謙也君や千里君も金ちゃんちに行くことにしたらしい。
「みんなが来てくれるんやったらワイも帰るで!」
早速玄関に向かおうとした金ちゃんを慌てて捕まえる。
「わっ、ちょっと待って!」
「なん、ひな?」
小首を傾げた金ちゃんの腕を掴んだまま、もう1度リビングに案内する。
「帰る前にみんなに渡したいものがあるんだ」

ちょっと待ってて、とみんなに言い置いて、私は自室へあるものを取りに向かった。




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